TOEIC900点でも通じない人の共通点──スコアが測っていない「自分の音」と、直す順番

TOEIC Listening & Reading が測るのは聞く力と読む力で、話す力は別のテストの対象です。900点でも聞き返される4つの理由と、モーラと音節のずれをどう直すか、AIと人の役割を分けた練習の順番を、英語発音矯正の視点で解説します。

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AIエンジニア / IT歴36年以上・海外在住13年以上のCEFR B1英語学習者

TOEIC900点でも通じない人の共通点──スコアが測っていない「自分の音」と、直す順番

TOEICで900点を取ったのに、会議で聞き返されます。メールは問題なく書けるのに、電話になると相手が黙ります。この落差に悩んでいる方は少なくありません。

そして多くの場合、原因は「英語力が足りない」ことではありません。測っていないものが原因になっているだけです。ここを取り違えると、もう100点上げる方向に努力が向かい、通じない状態はそのまま残ります。

今回は、スコアと「通じる」の間に何があるのかを分解します。

要約

  • TOEIC Listening & Reading Test が測るのは聞く力と読む力で、話す力と書く力は別のテストの対象です。スコアは自分の発音が届くかどうかを示していません。
  • 通じない原因の多くは、日本語のモーラ(拍)の感覚で英語の音節を並べてしまうことと、強く言う位置がずれることにあります。
  • 直すときは、何を最初に直すかを人に見てもらい、その反復をAIと行う順番が現実的です。

TOEICのスコアが測っているもの

テスト測っているもの形式
TOEIC Listening & Reading聞く力・読む力約45分100問+75分100問のマークシート
TOEIC Speaking & Writing話す力・書く力上記とは別のテスト

まず前提を確認します。TOEIC Listening & Reading Test は、公式に「Listening(聞く)・Reading(読む)という2つの英語力を測定します」と説明されています。リスニングが約45分で100問、リーディングが75分で100問、合計約2時間の解答をマークシートに記入する形式です。

話す力と書く力については、TOEIC Speaking & Writing Tests という別のテストが用意されています。同じTOEICという名前が付いていても、測っている対象が違います。

つまり、L&Rで900点というスコアは、聞き取れて読めることの証明です。自分の口から出た音が相手に届くかどうかについては、そもそも測定の対象に入っていません。これは欠点ではなく、テストの設計です。

「通じない」が起きる4つの理由

理由何が起きているか相手側の受け取り
リズムの単位が違う日本語のモーラ(拍)の感覚で英語を並べる平坦に聞こえ、語を切り出しにくい
語のつながりが消える話すときに語の切れ目で区切る聞き慣れた音のかたまりにならない
強く言う位置がずれる語の中で強める場所が変わる別の語として届くことがある
音を近いものに置き換える日本語にない音を無意識に代用する語が特定できない

では、聞き取れて読める人が、なぜ話すと通じないのでしょうか。現場で起きているのは、次の4つです。

理由1: リズムの単位が違います

日本語はモーラ(拍)を単位として、ほぼ等しい長さで音を並べます。英語は音節(syllable)を単位として、強く長い部分と弱く短い部分の差をつけます。

日本語のモーラの感覚のまま英語を言うと、全体が平坦になります。聞く側は強弱を手がかりに語を切り出しているので、平坦な音の連なりからは語を拾いにくくなります。

理由2: 語と語のつながりが消えます

聞き取りに慣れている人は、英語が続けて発音されることを知っています。ところが自分が話す番になると、語の切れ目ではっきり区切ってしまうことがあります。

読むときに見える単語の境目と、話すときの音の境目は一致しません。ここが分離できていないと、聞けるのに言えない状態が続きます。

理由3: 強く言う位置がずれます

英語の語には、どこを強く言うかが決まっています。位置がずれると、相手には別の語として届くことがあります。

スコアの上では、この情報は問われません。選択肢を選ぶときに、自分がどこを強く言うかは関係がないからです。

理由4: 音を近いものに置き換えています

日本語にない音は、無意識のうちに近い音へ置き換えられます。置き換えたことに自分では気づけません。自分の耳は、自分が意図した音を聞いてしまうからです。

関連: 日本人の英語が通じない最大の原因は発音だった|単語・文法・リスニングと切り分けてわかる本当のボトルネック で詳しく解説しています。

スコアが測っていないもの

場面判定するものテストで問われるか
他人が出した音を聞く相手の発話問われる
自分が出した音を確かめる自分の発話問われない
聞き返されたあとの立て直しその場の対応問われない

ここまでの4つに共通するのは、自分が出した音を、自分で確かめられないという一点です。

聞く力は、他人が出した音を判定します。話す力は、自分が出した音を判定します。同じ「音」を扱っていても、必要な能力が違います。

もうひとつ、テストが扱わないものがあります。聞き返されたときにどうするかです。実際の会議では、一度で通じないことは普通に起きます。そのときに同じ言い方を繰り返すのか、言い換えるのか、ゆっくり言い直すのかを、その場で選びます。この対応の有無が、その場の成果を決めます。

私はマニラで13年ほど、いろいろな英語のアクセントに囲まれて仕事をしてきました。フィリピン系、中華系、欧米系で、それぞれ音の作り方が違います。そこで身についたのは、正しい発音を目指す感覚ではなく、相手に伝わる言い方を選ぶ感覚でした。この二つは重なる部分もありますが、同じではありません。

関連: 外資系で通用する英語はTOEIC高得点とは別物|面接・会議で話せない人のための対策 で詳しく解説しています。

AIと人で役割を分けます

担当得意なこと任せる作業
AI反復と比較を同じ品質で続けること録音と手本の比較、繰り返しの練習
何をどの順で直すかを決めること直す対象の特定、口の動きの指導

発音を直すとき、AIと人を対立させる必要はありません。得意なことが違うので、分けて使います。

AIが得意なのは、反復です。何度でも、同じ品質で、時間を選ばずに付き合ってくれます。自分の録音と手本を並べて比べる作業も、機械のほうが正確です。

人が得意なのは、何を直すかを決めることです。ずれている点が10ある中で、どれを最初に直せば通じるようになるのかを見極めます。ここには優先順位の判断が要ります。また、口や舌をどう動かせばその音になるのかは、外から見て指摘してもらうほうが早く進みます。

順番としては、人に見てもらって直す対象を決め、その反復をAIと行う形が現実的です。逆にすると、直す対象が定まらないまま練習量だけが増えます。

関連: 「中止」「延期」「見合わせ」「再開」を英語で伝える技術|業務停止のニュースで学ぶ4つの動詞の使い分け で詳しく解説しています。

今日から始める3つの練習

練習やること狙い
練習130秒録音して翌朝に聞く自分の耳の補正を外す
練習21文につき1語だけ強く長く言う平坦さを直す
練習3言い直しの型を3つ持つ聞き返されても会話を止めない

練習1: 自分の声を録音して、翌日に聞きます

その場で聞くと、意図した音として聞こえてしまいます。一日空けてから聞くと、他人の音として聞けます。会議の自分の発言を30秒だけ録音して、翌朝に再生してください。

練習2: 1文につき1語だけ、強く長く言います

平坦さを直す最短の方法です。文の中でいちばん伝えたい語を1つ決め、そこだけを強く長く言います。他は弱く短くします。最初は大げさに感じるくらいで、相手にはちょうど届きます。

練習3: 言い直しの型を先に決めます

聞き返されたときのために、二の矢を用意しておきます。同じ文をゆっくり繰り返す、別の語に言い換える、綴りを言う、という3つです。これを順に出せるようにしておくと、会話が止まりません。

FAQ

Q: スコアを上げれば、いずれ通じるようになりますか?

なりにくいです。TOEIC Listening & Reading Test が測っているのは聞く力と読む力で、話す力は別のテストの対象になっています。スコアを上げる勉強を続けても、自分の口から出る音は測定されないままです。通じるようにしたいなら、話す側の練習を別に置く必要があります。

Q: どのくらい練習すれば変わりますか?

変わり方は直す対象によって違います。強く言う位置を直すような修正は、意識した直後から相手の反応が変わることがあります。一方で、日本語にない音を作れるようにする修正は、口の動きを覚え直すことになるので時間がかかります。まず前者から手をつけると、成果が見えやすくなります。

Q: AIの発音判定アプリだけで十分ではないですか?

反復の相手としては十分に使えます。ただし、判定は「どのくらい違うか」を返してくれても、「まず何から直すべきか」までは決めてくれません。ずれが複数あるときの優先順位づけと、口をどう動かすかの具体的な指示は、人に見てもらうほうが早く進みます。

Q: 自分では発音が悪いと思っていませんが、聞き返されます

自分の耳は、自分が意図した音を聞いてしまいます。ですから、自己評価と相手の受け取り方がずれるのは自然なことです。録音して翌日に聞く方法が有効なのは、この「自分の耳の補正」を外せるからです。

Q: 相手のアクセントが強くて聞き取れない場合はどうしますか?

この場合も、こちらの言い方を整えることが助けになります。自分の発話がはっきりしていると、相手も合わせて話し方を変えることがあります。加えて、確認の一言を型として持っておいてください。相手の言葉を短く言い直して確かめる習慣があると、聞き取れない場面での事故が減ります。

まとめ

TOEICで高いスコアを取っているのに通じないのは、能力が足りないからではありません。測っていない領域が別にあるというだけです。

分けて考えるべきものは、聞いて分かること、読んで分かること、そして自分の口から出た音が相手に届くことの3つです。前の二つが高い人ほど、三つ目の練習が後回しになりがちです。

まずは、自分の声を録音して翌日に聞くところから始めてください。そこで気づいたずれのうち、どれを最初に直すかを人に見てもらえば、練習の効率が変わります。

参考・出典

この記事を書いた人

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サイト運営・日本語サポート担当 / AIエンジニア

  • 東京都出身・海外在住13年以上
  • IT歴36年以上(開発・SEO・AI)
  • IBM認定 生成AIエンジニア
  • CEFR B1の英語学習者(今も学習中)

外資系の現場で「英語が話せず評価が伸びない」苦しさを経験し、海外移住後も印刷所で「copy」が通じないような発音の壁に何度もぶつかってきました。今もプロ講師の指導を受けながら学習を続ける一人として、AI時代でも英語で悩む日本人ビジネスパーソンに向けて、現場目線で記事を書いています。日本語でのご相談やお問い合わせも私が担当します。

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