英語の自己紹介で名前を何度も聞き返される|日本人の氏名を英語圏の耳に届ける4つの調整

英語の自己紹介で自分の名前だけ何度も聞き返される。原因は日本語のモーラ等時のリズムと、英語の音節・強勢のずれにあります。姓名の順、強勢の位置、長音の扱い、呼び名の用意という4つの調整を、発音矯正の視点で具体的に解説します。

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AIエンジニア / IT歴36年以上・海外在住13年以上のCEFR B1英語学習者

英語の自己紹介で名前を何度も聞き返される|日本人の氏名を英語圏の耳に届ける4つの調整

英語の会議やオンライン商談で、自己紹介の最初の一言だけがなぜか通じないことがあります。仕事の話は問題なく進むのに、自分の名前を言った瞬間に相手が「Sorry?」と聞き返してくるのです。この現象に心当たりがある方は、かなり多いはずです。

起きていること本当の原因
名前だけ何度も聞き返される日本語のモーラのリズムをそのまま英語の会話に持ち込んでいる
相手が勝手に別の読み方をする強勢(どこを強く読むか)を自分で決めていない
名刺を見せると急に伝わる音では届いていないのに、文字では届いている

名前は、英語力とは切り離して考えるべき特殊な単語です。仕事の英語は文脈が助けてくれますが、自己紹介の名前には文脈がありません。相手は前後関係から推測できず、聞こえた音だけで判断します。だからこそ、英語力が伸びた人でも名前だけが最後まで通じないままになりがちです。

日本語の「バ」と英語の「B」はどちらも両方の唇を閉じてはじく音ですが、英語では「B」と「V」(下唇を上の前歯に軽く当てて出す音)の区別が大事です。日本人の「B」は、母音の長さが足りなかったり子音がはっきりしなかったりすると、「V」とまぎらわしく届きます。アルファベット3文字ですらこうなるのですから、四音も五音もある氏名で同じことが起きるのは、むしろ自然です。

要約

  • 仕事の話は問題なく進むのに、自分の名前を言った瞬間だけ「Sorry?」と聞き返される。心当たりのある方は多いはずです。
  • 原因は、日本語のモーラのリズムをそのまま英語の会話に持ち込んでいることです。
  • 名前は最初に発する言葉で、そこでつまずくと会話全体の印象が決まります。直し方を手順で示しました。

日本人の名前が英語圏の耳に届かない4つの原因

原因英語話者の耳に何が起きるか
モーラ等時のリズム山も谷もない音の列に聞こえ、単語の切れ目がわからない
強勢の位置が決まっていない聞き手が勝手に強い位置を作り、別の名前になる
長音・促音が消える「おおの」と「おの」、「はっとり」と「はとり」が同じに聞こえる
姓と名のどちらを名乗ったか不明ファーストネームで呼ぶべきか判断できず、呼びかけを避けられる

モーラ等時のリズムがそのまま出てしまう

日本語は、仮名一つひとつをほぼ同じ長さで並べるモーラ(拍)のリズムで話す言語です。一方の英語は、音節(syllable)を単位にして、強く長い音と弱く短い音の組み合わせでリズムを作ります。

「やまむら」を日本語のモーラどおりに読むと、ヤ・マ・ム・ラの4拍が均等に並びます。この平坦な音の列を英語話者が聞くと、どこで一つの語が終わったのかがつかめません。英語では強勢のある音節が語の骨組みになるため、骨組みのない音の列は、記憶にも残りにくくなります。

これは、私が "afternoon" を通じさせられなかったときと同じ現象です。英語の afternoon は最後の noon にいちばん強い山が来て、最初の af が中くらい、中間の ter がもっとも弱くなります。ところが私は「ア・フ・タ・ヌ・ー・ン」と、すべてを同じ長さで並べていました。日本語では音を一つずつ等しく刻む癖があるため、英語話者の耳には平坦でぎこちないリズムに聞こえてしまいます。

関連: 日本人のための英語発音矯正完全ガイド|カタカナ英語を卒業する全ステップ で詳しく解説しています。

強勢の位置を自分で決めていない

英語話者は、初めて聞く固有名詞にも必ずどこかに強勢を置いて理解しようとします。話し手が位置を示さなければ、聞き手が自分の言語の癖で勝手に決めます。

その結果、「サトウ」が sa-TOH になったり、「イトウ」が EE-toh になったりと、日によって呼ばれ方が変わります。名乗った本人が一番違和感を覚えるのに、相手には正解がわかりません。

関連: 発音を直すと相手の反応が変わる|日本人ビジネスパーソンのための発音矯正 で詳しく解説しています。

長音と促音は英語の音節に写りません

日本語の長音(おおの)や促音(はっとり)は、モーラを一つ増やすことで意味を変えます。しかし英語の音節構造には、これに正確に対応する仕組みがありません。

英語話者は長さの違いを意味の違いとして処理しない場合が多く、「おおの」と「おの」を同じ名前として受け取ってしまいます。二人が同じ会議にいれば、これは実務上の問題になります。

関連: 「中止」「延期」「見合わせ」「再開」を英語で伝える技術|業務停止のニュースで学ぶ4つの動詞の使い分け で詳しく解説しています。

姓と名のどちらを名乗ったのかが伝わりません

日本語の氏名をローマ字で書くとき、公用文では2020年1月から「姓-名」の順が原則となりました。これは令和元年10月25日の関係府省庁申合せで決まったもので、必要な場合は姓を大文字で書くなどして区別することも示されています。

ただ、この順序は英語圏の慣行と逆です。音声の自己紹介では、聞き手はどちらが姓でどちらが名かを判断できません。判断できないと、相手はあなたを名前で呼ぶこと自体を避けるようになります。会議で名前を呼ばれないのは、存在感の面で確実に損です。

英語圏の耳に届ける4つの調整

調整やること
音節に組み直す4拍の名前を2〜3音節にまとめ直して発音する
強勢を自分で固定するどこを強く言うかを決め、いつも同じ位置で言う
子音をはっきり出す語頭の子音と母音の質を、日本語の発音より少し強めに作る
呼び名を先に渡す名乗りの直後に「Please call me ○○」を必ず付ける

4拍を2〜3音節にまとめ直します

「やまむら」を YA-ma-mu-ra と4つに割ると、英語のリズムには乗りません。YAM-mu-ra のように、最初にしっかりした山を作り、残りを弱く短く流す形に組み直します。

このとき大事なのは、日本語として正しい発音を捨てることではありません。日本語で名乗るときはモーラどおりに言い、英語で名乗るときは音節に組み直すという、二つの言い方を持つという考え方です。英語の会話の中に日本語のリズムを一つだけ挟むと、その部分だけが異物のように浮いてしまいます。

強勢の位置は一度決めたら変えません

強勢を先頭に置くか、二つめの音節に置くかは、どちらを選んでも構いません。ただし、決めたら常に同じにします。相手はあなたの名前を、最初に聞いた音の形で記憶します。毎回違う形で言えば、記憶が定着しません。

多くの日本人の姓では、先頭に強勢を置くと英語話者にとって自然に響きます。ただし例外も多いので、実際に声に出して複数の英語話者に確認するのが確実です。

語頭の子音を作り直します

名前が別の語に化けるのは、たいてい子音の作りが甘いためです。私は "nothing" が "noting" と聞き取られたり、"grow up" が "glow up" と受け取られたりして、会話が止まった経験があります。どちらも基本的な単語ですが、子音の精度が低いとまったく別の語に聞こえてしまいます。

日本人の氏名で特に注意したいのは、B・V、R・L、H・F の組み合わせです。「はやし」の H は、英語の H よりも息をはっきり出さないと F に寄って聞こえることがあります。

呼び名をこちらから渡します

これがおそらく、いちばん効果が大きい調整です。フルネームを言ったあとに、短く呼びやすい形を自分から提示します。「My name is Yamamura Atsushi. Please call me Atsushi.」のように、姓名を名乗ってから呼び名を一つ渡せば、相手はどちらで呼べばよいか迷いません。

呼び名は、英語話者が二音節で言い切れる長さが扱いやすくなります。名前の一部を切り出しても構いませんし、日本語として意味が通らなくても支障はありません。目的は、相手があなたを呼べるようにすることだからです。

明日の会議で試せる4つの練習

練習所要時間ねらい
自分の名前を録音して聞き返す5分自分の名前が平坦かどうかを耳で確認する
強勢の位置を3パターン試す10分英語のリズムに乗る形を選ぶ
自己紹介の型を30秒で固定する10分本番で考えずに言えるようにする
名前を含む短い一文で練習する毎日3分会話の流れの中で言えるようにする

録音して聞き返します

スマートフォンで自分の名前を英語の文の中で言い、そのまま聞き返してください。「Hi, I'm ○○○○, from the Tokyo office.」のように、前後に英語の文をつけて録音するのが要点です。名前だけを単独で録音すると、平坦さに気づけません。

前後の英語の部分にはリズムの起伏があるのに、名前のところだけ音が平らになっていれば、それがまさに相手が聞き返している原因です。

強勢の位置を3パターン試します

同じ名前を、先頭を強く、二つめを強く、三つめを強く、の3通りで録音します。並べて聞くと、英語の文に自然につながる形が一つだけあることに気づけるはずです。

自分の耳で判断がつかない場合は、この段階でプロの指導を受けるほうが早く進みます。自分の発音を自分で客観的に聞き取るのは、母語の癖が邪魔をするため、思っている以上に難しい作業です。プロナビのようなマンツーマンの発音矯正では、講師が音を聞き分けて位置を指示できるので、迷う時間がなくなります。

自己紹介の型を固定します

名乗り、呼び名、所属の3つを、30秒以内で言い切る型を作ります。一度作ったら、そのまま覚えてしまってください。本番で言葉を選びながら話すと、名前の発音まで注意が回りません。

外資系の会議では、最初の一言で相手の印象がおおむね決まります。私は外資系にいたころ、業務そのものはこなせていたと思いますが、英語をよく話す日本人の同僚が順調に昇進していく一方で、自分は昇進できませんでした。英語で話す力がそのまま評価につながる場面があると、身をもって経験しました。名前を正しく覚えてもらうことは、その入り口にあたります。

会話の流れの中で練習します

名前を含む短い一文を、毎日3分だけ声に出します。「This is ○○ speaking.」「○○ here.」のような、実際の電話や会議で使う形が向いています。

AIの発音チェック機能や音声入力を補助的に使うのは有効ですが、日本人特有の癖を切り分けて直すには限界があります。どの音が原因で通じていないのかを特定し、口の形と舌の位置を一つずつ修正していく作業は、TEFL / TESOL やBPOの現場で訓練を受けた講師とのマンツーマン指導が、もっとも確実で早い道です。

FAQ

Q: 英語風のニックネームを名乗ったほうが早いのではないですか?

A: 選択肢の一つではありますが、まず本名の呼び名から試すことをおすすめします。本名の一部を使った呼び名でも、二音節程度に整えれば英語話者は問題なく発音できます。無関係な英語名を使うと、名刺やメールの署名との対応がとれず、かえって混乱を生む場合があります。

Q: 姓と名はどちらを先に言うべきですか?

A: 公用文のローマ字表記は2020年1月から「姓-名」の順が原則です。ただし音声の自己紹介では、順序そのものより「どちらで呼んでほしいか」を伝えるほうが実務上は大切です。順序を決めたうえで、呼び名を必ず添えてください。

Q: 相手が間違った読み方をしたとき、訂正してよいのでしょうか?

A: 訂正して構いませんし、そのほうが親切です。ただし「違います」と否定するのではなく、正しい形をもう一度言って相手に繰り返してもらう形にすると、場の空気を保てます。最初の一、二回で直しておかないと、その読み方が定着してしまいます。

Q: オンライン会議では表示名があるので、発音は気にしなくてよいのでは?

A: 表示名は文字なので、読み方の情報は伝わりません。文字では届いても音では届いていないという状態は、実は最も危険です。私は大事な銀行手続きのとき、紙の書類やスマホの文字も一緒に見せるようにしていますが、それは音で通じなかった経験があるからで、音を直さなくてよいという意味ではありません。

名前は、あなたの英語の第一印象です

日本人の氏名が英語圏で通じにくいのは、英語力の問題ではなく、日本語と英語のリズムの単位が違うために起きる構造的なずれです。モーラで並んだ音を音節に組み直し、強勢の位置を固定し、子音をはっきり作り、呼び名を自分から渡す——この4つを整えるだけで、聞き返される回数は目に見えて減ります。

次の一歩として、今日中に自分の名前を英語の文の中で録音し、聞き返してみてください。そこで平坦さに気づけたなら、直すべき場所はもう見えています。自分の耳だけで判断がつかないときは、プロナビの発音診断のように、専門の講師に一度聞いてもらう方法があります。名前は、これから何百回も口にする単語です。早く整えるほど、得られるものは大きくなります。

参考・出典

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サイト運営・日本語サポート担当 / AIエンジニア

  • 東京都出身・海外在住13年以上
  • IT歴36年以上(開発・SEO・AI)
  • IBM認定 生成AIエンジニア
  • CEFR B1の英語学習者(今も学習中)

外資系の現場で「英語が話せず評価が伸びない」苦しさを経験し、海外移住後も印刷所で「copy」が通じないような発音の壁に何度もぶつかってきました。今もプロ講師の指導を受けながら学習を続ける一人として、AI時代でも英語で悩む日本人ビジネスパーソンに向けて、現場目線で記事を書いています。日本語でのご相談やお問い合わせも私が担当します。

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