日本人の英語が通じない最大の原因は発音だった|単語・文法・リスニングと切り分けてわかる本当のボトルネック

英語が通じない原因を単語・文法・リスニング・発音に切り分けると、日本人の最大のボトルネックは発音です。カタカナの錯覚や3つの音のズレを実体験で解説し、発音矯正の始め方を紹介します。

執筆者
執筆者執筆者

AIエンジニア / IT歴36年以上・海外在住13年以上のCEFR B1英語学習者

日本人の英語が通じない最大の原因は発音だった|単語・文法・リスニングと切り分けてわかる本当のボトルネック

英語が通じないと、たいていの人はまず単語帳に戻ります。語彙が足りなかったのだろう、と考えるからです。ところが次の会話でもまた聞き返されて、何を直せばいいのか分からなくなります。

通じない原因は、単語・文法・リスニング・発音の4つに分けられます。分けてみると、日本人の場合は最後の発音だけが残ることがとても多いです。

ここでは、自分がどこで止まっているのかを切り分ける手順と、発音が残ったときに何から手をつけるのかを説明します。

要約

  • 書いて見せれば伝わるのに口では通じないのなら、単語と文法はその場面で足りています。残っているのは発音です。
  • 発音は、語彙や文法とは別の項目として採点されます。TOEIC Speaking の公式認定証は、総合スコアとは別の欄で発音を見ています。
  • 日本語の癖は三つに出ます。音を同じ長さで刻むリズム、五つに固まった母音、そして日本語にない子音の作り方です。

単語も文法も足りているのに、口に出すと通じない

起きることそのときの状態
声にした瞬間に聞き返される文はできていて、書けば伝わる
理由が本人に分からない相手は「もう一度」としか言わない
いちばん手をつけやすい単語に戻る音が変わらないので同じ場面が来る

いちばん多いのは、言いたい文はできあがっているのに、声にした瞬間に相手の表情が変わる場面です。頭の中では文が完成していて、書いて見せれば問題なく伝わります。

メールやチャットなら、仕事の内容も条件の交渉も問題なく進みます。それなのに、同じ内容を口で言うと止まってしまいます。

私自身、銀行の窓口で同じ思いをしました。書類の内容は読んで理解できていますし、必要なことは頭の中で英語の文になっています。それを口に出したとたん、行員の表情が固まりました。言い直しても伝わらず、結局は書いて見せるしかありません。文法の間違いなら相手が汲み取ってくれます。ところが音が崩れると、相手は困惑して会話そのものが成り立たなくなるのです。この日から、発音が苦手だという思いが強く残りました。

明るい会議室で英語で説明する日本人ビジネスパーソンと耳を傾ける外国人の同僚 言いたい内容が同じでも、音が届くかどうかで会議の進み方は変わります。

困るのは、通じなかった理由が本人には分からないことです。相手は「もう一度お願いします」としか言ってくれませんから、単語が悪かったのか、言い方が悪かったのか、判断がつきません。

そして原因が分からないまま、いちばん手をつけやすい単語に戻ります。覚える語を増やしても、口から出る音が変わっていなければ、同じ場面がまた来ます。

関連: 発音矯正はなぜ最短ルートなのか?英語学習の順番で損をしない考え方 で詳しく解説しています。

通じない原因は4つに分けて考える

原因出方見分け方
単語言いたい語が出てこない紙に書こうとしても書けない
文法語は分かるが並べられない時間をかければ書けるか
リスニング返事がかみ合わない相手の言葉が分かっているか
発音語も文も出ているのに聞き返される書いて見せると伝わる

まず、原因を分けてしまいましょう。分け方はそれほど難しくありません。

一つめは、言いたい語そのものが出てこないときです。このときは、紙に書こうとしても書けません。二つめは、語は分かるのに文として並べられないときです。時間をかければ書けるかどうかで見分けられます。

三つめは、相手の英語が聞き取れていない場合です。返事がかみ合わない、質問と違う答えを返してしまう、といった形で出ます。四つめが発音で、語も文も出ているのに聞き返される、という形になります。

読み書きに時間をかけてきた人ほど、最初の二つはすでに足りています。相手の言っていることも、以前より分かる場面が増えているはずです。すると、残るのは四つめだけになります。

発音は、語彙や文法とは別の力として扱われます。TOEIC Speaking の公式認定証では、総合スコアとは別の欄に、発音と、イントネーションおよびアクセントの評価が入ります。言語の力を段階で示す国際的な枠組みでも、音を思いどおりに出せているかは、語彙の広さや文法の正確さとは別の項目です。分けて採点されるものは、分けて練習したほうが早く直ります。

関連: 発音が変わると、仕事の成果も変わる理由|ビジネス英語の「伝達コスト」を下げる発音矯正 で詳しく解説しています。

日本語の癖として出る3つのズレ

ズレる場所日本語の癖英語で起きること
リズム音を一つずつ同じ長さで刻む拍が増えて別の語に聞こえる
母音五つの母音に口が固まっている二つ以上の語が同じ音になる
子音日本語にある近い音で置き換える相手にまぎらわしく届く

では、なぜ発音だけが残るのでしょうか。日本語を長く使ってきた口には、英語とかみ合わない癖が三つあります。

その前に、この三つが見えにくくなる理由があります。カタカナです。日本語には英語から来たカタカナ語がたくさんあるので、意味も文字も知っている単語については、音まで知っているつもりになります。

私も、日本でカタカナ表記されている英語をそのまま声に出して、通じなかったことが何度もあります。カタカナ読みと英語の音のずれ方は単語ごとに違うので、カタカナに慣れているほど落とし穴になります。

一つめはリズムです。日本語は音を一つずつほぼ同じ長さで刻む言語で、この単位をモーラ(拍)と呼びます。英語のほうは音節(syllable)が単位で、強くて長い音節と弱くて短い音節が混ざって並びます。日本語の癖のまま読むと拍の数が増え、相手には知らない語に聞こえてしまいます。

つまずきやすい典型が、copy のような短い単語です。日本語の「コピー」と同じつもりで、三つに分けて同じ長さで読んでしまう。英語の copy は前を強く短く、後ろを弱く短く置く形なので、音を均等に刻む日本語の癖とは根本から食い違います。

二つめは母音です。日本語の母音は五つで、口の開き方と舌の位置がほぼ決まっています。英語はもっと細かく分かれていて、口を横に広げるのか、軽く開けて舌を後ろに引くのかで別の語になります。日本語の「ア」に近い音でひとまとめにすると、二つ以上の語が同じ音になってしまいます。

母音でも似た場面がありました。タクシーで通りの名前を伝えたとき、bat のつもりで出した音が運転手には but に聞こえて、まったく違う場所の話だと勘違いされました。レストランで cat food と言ったら cut food に聞こえて、店員を困らせたこともあります。

三つめは子音です。下唇を上の歯に軽く当てて息を通す音や、舌先を上の歯ぐきに近づけて出す音は、日本語には同じ形がありません。近い音で置き換えると、相手にはまぎらわしく聞こえることがあります。

このあたりには例外も個人差もあります。地域によって出方が違う音もありますし、前後にどの語が来るかでも変わります。ただ、日本語を話す人に共通して出やすい癖があるのは確かです。そこを知らないまま練習量だけ増やしても、同じ癖のまま回数だけが増えていきます。

関連: 「中止」「延期」「見合わせ」「再開」を英語で伝える技術|業務停止のニュースで学ぶ4つの動詞の使い分け で詳しく解説しています。

自分のボトルネックを確かめる4つの手順

手順やること分かること
1通じなかった場面を書き留めるあとで見返す材料が残る
2同じ文を書いて見せる単語と文法が足りているか
3相手の返事が分かっていたかを思い出すリスニングが足りているか
4文ではなく語だけを言い直す引っかかる音がどれか

自分がどこで止まっているのかは、次の順番で確かめられます。特別な道具はいりません。

手順1は、通じなかった場面をその日のうちに書き留めることです。何を言おうとしたのか、相手はどんな反応だったのか、言い直して通じたのかを、短く残しておきます。

手順2は、同じ文を書いて相手に見せることです。書いて伝わったのなら、単語と文法は足りています。この時点で、原因のうち二つは外れます。

手順3は、相手の返事を自分が聞き取れていたかを思い出すことです。相手の言葉は分かっていたのに自分の言葉だけが通じなかったのなら、リスニングも外れます。

スマートフォンで自分の英語の発音を録音して確認する学習者 その場で録っておくと、あとから語ごとに聞き返して原因を絞れます。

手順4は、文ではなく語だけを言い直してみることです。単語ひとつで止まる語を集めていくと、同じ音が何度も出てきます。そこが自分の弱いところです。

切り分けるときにつまずきやすいところ

やりがちなこと実際に起きること
すぐに語彙を増やす覚えている語なので何も変わらない
大きくゆっくり言い直す音の作り方が同じなら届き方も同じ
相手のうなずきで判断する推測で補われていることがある

つまずくところは、たいてい決まっています。

一つめは、通じなかった直後に語彙を増やそうとしてしまうことです。書いて伝わった経験があるなら、その語は覚えている語です。足りないのは語ではありません。

二つめは、大きくゆっくり言えば通じると考えることです。音の作り方が同じままなら、大きくしても長くしても、相手に届く音は変わりません。かえって、伸ばした分だけ拍が増えることもあります。

三つめは、相手のうなずきで通じたと判断することです。前後の話から推測して補ってくれている場合があるので、うなずきは通じた証拠になりません。どの語で引っかかったのかを、その場で聞くほうが確かです。

そして、自分の音を自分だけで判定するのは、そもそも難しいことです。手順どおりに切り分ければ、発音が残ることまでは分かります。ただし、口のどこをどう動かせば直るのかは、記録を見ても出てきません。舌や唇の動きまで見て直せるのは、訓練を受けた講師とのマンツーマンのレッスンです。

FAQ

Q: 単語も文法も自信がないのですが、それでも発音から始めてよいですか?

A: 書けば伝わるかどうかで判断してください。書いた文が相手に伝わっているなら、語と文の力はその場面で足りています。逆に、書こうとしても文にならないのであれば、まず読み書きのほうから手をつけてください。

Q: 発音が原因かどうか、独学で見分けられますか?

A: 原因の切り分けまでは一人でもできます。書いて伝わるか、相手の返事が分かるか、この二つを確かめれば残るものが決まります。ただし、どの音がどうずれているのかを言い当てるところからは、聞いてもらったほうが確実です。

Q: 通じないのは、相手が日本人の英語に慣れていないだけではないですか?

A: 慣れの差はあります。同じ発音でも、聞き取ってくれる人とそうでない人がいます。ただ、相手が変わるたびに通じたり通じなかったりするのなら、原因は相手の耳ではありません。自分の音が、聞き取れるかどうかのぎりぎりのところにあるということです。

Q: 発音記号を覚えたほうがよいですか?

A: 記号を覚えても、口が動くようにはなりません。読めるようになるのと、その音を出せるようになるのは別の作業です。舌や唇をどこに置くかという説明のほうが、実際の場面では役に立ちます。

Q: どのくらいで通じるようになりますか?

A: 音によって差があります。口の形を変えるだけで届くようになる音もあれば、リズムの癖のように、直すのに数か月かかるものもあります。まず、自分に必要な音がどれなのかを絞るところから始めてください。

まとめ

通じない原因は、単語・文法・リスニング・発音の4つに分けられます。書いて伝わるか、相手の返事が分かるかを確かめれば、多くの場合は発音だけが残ります。

残った発音には、日本語の癖として出る三つのズレがあります。拍で刻むリズム、五つに固まった母音、そして日本語にない子音の作り方です。ここを知らずに練習量だけ増やしても、同じ癖が強くなるだけです。

切り分けまでは一人でできます。その先の「どこをどう動かすか」まで進みたい方は、プロナビのマンツーマンレッスンで一つずつ直していきましょう。

参考・出典

この記事を書いた人

執筆者
執筆者

サイト運営・日本語サポート担当 / AIエンジニア

  • 東京都出身・海外在住13年以上
  • IT歴36年以上(開発・SEO・AI)
  • IBM認定 生成AIエンジニア
  • CEFR B1の英語学習者(今も学習中)

外資系の現場で「英語が話せず評価が伸びない」苦しさを経験し、海外移住後も印刷所で「copy」が通じないような発音の壁に何度もぶつかってきました。今もプロ講師の指導を受けながら学習を続ける一人として、AI時代でも英語で悩む日本人ビジネスパーソンに向けて、現場目線で記事を書いています。日本語でのご相談やお問い合わせも私が担当します。

まずは無料カウンセリングから

あなたの現状と目標をお聞きし、最適なプランをご提案します。

無料カウンセリングを予約する(0円)

関連記事

英語が聞き取れない原因は「弱形」にあった|can・to・for が消える仕組みと発音矯正トレーニング
発音矯正

英語が聞き取れない原因は「弱形」にあった|can・to・for が消える仕組みと発音矯正トレーニング

単語は知っているのに聞き取れない原因は、can・to・for などが潰れて発音される「弱形」です。シュワーの仕組み、日本人がつまずく理由、5語から始めるリスニングと発音矯正の練習法を、ビジネス英語コーチングの視点で解説します。

2026/8/9

英語の自己紹介で名前を何度も聞き返される|日本人の氏名を英語圏の耳に届ける4つの調整
発音矯正

英語の自己紹介で名前を何度も聞き返される|日本人の氏名を英語圏の耳に届ける4つの調整

英語の自己紹介で自分の名前だけ何度も聞き返される。原因は日本語のモーラ等時のリズムと、英語の音節・強勢のずれにあります。姓名の順、強勢の位置、長音の扱い、呼び名の用意という4つの調整を、発音矯正の視点で具体的に解説します。

2026/8/6

AI時代に選ばれる英語は「きれいな発音」|音声認識・AI議事録に正しく聞き取られる話し方
発音矯正

AI時代に選ばれる英語は「きれいな発音」|音声認識・AI議事録に正しく聞き取られる話し方

AI議事録や音声入力の時代は、発音の明瞭さが「記録と操作」に直結します。ネイティブらしさではなく、子音・母音・リズムの輪郭を整えた「きれいな発音」が人にもAIにも選ばれる理由と、音声認識を壁打ち相手にする発音矯正の練習法を解説します。

2026/7/23

発音矯正はなぜ最短ルートなのか?英語学習の順番で損をしない考え方
発音矯正

発音矯正はなぜ最短ルートなのか?英語学習の順番で損をしない考え方

発音矯正が英語学習の最短ルートになる理由を解説します。音は一度直せば全単語に効く体系であり、リスニングと連動し、通じる成功体験が継続を加速させます。ビジネス英語で損をしない学習の順番と、最短で進める発音矯正のステップを紹介します。

2026/7/22

発音が変わると、仕事の成果も変わる理由|ビジネス英語の「伝達コスト」を下げる発音矯正
発音矯正

発音が変わると、仕事の成果も変わる理由|ビジネス英語の「伝達コスト」を下げる発音矯正

英語の発音は仕事の「伝達コスト」に直結します。聞き返しが減り、相手が内容に集中でき、信頼が積み上がる——発音矯正が会議・商談の成果を変える3つのメカニズムと、成果につなげる練習の進め方を解説します。

2026/7/21

カタカナ英語があなたの評価を下げる理由|日本人ビジネスパーソンのための発音矯正コーチング
発音矯正

カタカナ英語があなたの評価を下げる理由|日本人ビジネスパーソンのための発音矯正コーチング

会議やプレゼンで内容は良いのに評価が伸びないのは、カタカナ英語の発音が原因かもしれません。相手の負担になる仕組みと、今日から始める改善手順を解説。自動ツールに頼りきらず、プロのマンツーマン発音矯正で「伝わる発音」を身につける方法を、同じ悩みを越えてきた視点でお伝えします。

2026/7/18