投資家との英語対話で外せない4つのポイント|経営者が数字を守り切るためのエグゼクティブ英語

投資家との英語対話で評価が決まるのは、うまく話せた部分ではなく詰まった部分です。悪い数字を先に出す順番、確度の言い分け、答えられないときの型、自社用語の発音という4つのポイントを、エグゼクティブ英語コーチングの視点で解説します。

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AIエンジニア / IT歴36年以上・海外在住13年以上のCEFR B1英語学習者

投資家との英語対話で外せない4つのポイント|経営者が数字を守り切るためのエグゼクティブ英語
場面投資家が本当に見ていること
業績の説明数字そのものより、悪い数字をどう扱うか
質疑応答答えられない質問への対応の仕方
将来の見通し断定と留保の線引きが引けているか

投資家との対話は、英語の上手さを見せる場ではありません。相手が見ているのは、この経営者に資金を預けて大丈夫かという1点です。そして、その判断材料の多くは、うまく話せた部分ではなく、詰まった部分に出てきます。

この記事では、投資家との英語のやりとりで外せない4つのポイントを、実際の場面に沿って整理します。IR、資金調達の面談、ボードミーティングのいずれでも共通して使える内容です。

私は外資系で働いていたころ、業務そのものは、ちゃんとこなせていたと思います。ただ、英語をペラペラに話せる日本人の同僚は順調に昇進していったのに、自分は昇進できませんでした。技術の力だけでは越えられない壁があると、はっきり感じた瞬間でした。投資家との対話も構造は同じで、事業の中身がよくても、それを英語で運べなければ評価は事業の実力より下に着地します。

要約

  • 投資家が見ているのは英語の上手さではありません。この経営者に資金を預けて大丈夫か、その1点です。
  • 判断材料の多くは、うまく話せた部分ではなく詰まった部分に出ます。悪い数字をどう扱うか、答えられない質問にどう応じるかです。
  • 外せないのは4つ。悪い数字を先に出す、確度を段階で言い分ける、答えられないときの型を持つ、自社の言葉を聞き返されない発音にすることです。

投資家との英語で起きやすい4つのつまずき

つまずき起きていること投資家側の読み方
悪い数字を飾る婉曲な表現を重ねて説明が長くなる都合の悪い情報を隠す人だと見なされる
断定しすぎる見通しを will で言い切ってしまう根拠のない約束をする人だと警戒される
質問に答えない聞かれていないことを長く話す理解していないか、逃げていると判断される
沈黙する想定外の質問で止まってしまうその場で判断できない経営者だと見られる

このうち、いちばん損をするのが1つ目です。売上が落ちた、計画に届かなかったという話を、日本語では「厳しい状況ではありますが」と前置きしてから入ります。この構造をそのまま英語に持ち込むと、結論にたどり着く前に相手の集中が切れます。

投資家は悪い数字そのものを嫌っているわけではありません。事業に浮き沈みがあるのは前提です。嫌われるのは、悪い数字が出たときの説明の仕方でわかってしまう性格のほうです。

関連: 経営者が英語で失敗すると会社が失うもの|商談・交渉・採用で起きる4つの損失と立て直し方 で詳しく解説しています。

押さえておきたい4つのポイント

ポイントやること
1. 悪い数字を先に出す数字 → 原因 → 対応の順で言う
2. 確度を段階で言い分けるexpect / aim to / should の使い分けを決めておく
3. 答えられないときの型を持つ「わからない」を誠実に言い切る表現を用意する
4. 自社の言葉の発音を直す業界名・製品名・部署名を聞き返されない状態にする

1つ目:悪い数字を先に出す

英語では、結論を先に置く構造のほうが信頼されます。Revenue was down 12% year on year. Two reasons. First... Second... Here is what we are doing about it. という順番です。

前置きを削ることに抵抗を感じる方は多いのですが、削ったほうが誠実に聞こえます。悪い情報を最初に自分から出す人は、良い情報も正直に出すだろうと受け取られるためです。

関連: ボードミーティング英語のリアル|日本人役員が取締役会で発言権を失う4つの瞬間 で詳しく解説しています。

2つ目:確度を段階で言い分ける

日本語では「〜する見込みです」でだいたい足りてしまいます。英語では確度によって動詞が変わり、そこを聞き分けられます。

We expect は根拠のある見通し、We aim to は目標であって約束ではないという含み、It should はさらに弱い推測です。ここを We will で押し通すと、達成できなかったときに約束違反として扱われます。逆に全部を弱い表現で埋めると、自信のない経営者に見えます。

自社の数字について、どの段階の表現を使うかを事前に決めておいてください。その場の勢いで選ぶと、必ずぶれます。

関連: 「決まったのに止まっている」を英語で説明する技術|賃上げ差止のニュースで学ぶ、保留・発効・係争中のビジネス英語 で詳しく解説しています。

3つ目:答えられないときの型を持つ

投資家との対話でいちばん怖いのは、想定外の質問です。ここで曖昧に流すと、後から不信の材料になります。

使えるのは、わからないことを言い切ったうえで、次の行動を示す形です。I don't have that figure with me. I'll send it by Friday. のように、いつまでに何を出すかまで含めて言い切ります。

I'd rather not speculate on that. も、根拠のない推測を求められたときには有効です。答えを避けているのではなく、いい加減なことを言わないという姿勢として伝わります。

4つ目:自社の言葉の発音を直す

意外に見落とされるのがここです。業界名、製品名、部署名は、英語話者にとって耳慣れない語であることが多く、発音が崩れると相手が復元できません。数字の話の途中で固有名詞を聞き返されると、その一往復で流れが切れます。

日本語の「あいうえお」の5母音に合わせて使い慣れた口は、舌の可動域が英語話者よりも狭くなっています。たとえば「TH」の音は、舌先を上下の歯で軽く挟んで息を吐く摩擦音です。仕組みを頭で理解したうえで、意識して口を動かす練習を重ねると、通じ方が変わります。

英語では「B」と「V」の区別が大事です。日本語の「バ」と英語の「B」はどちらも両方の唇を閉じてはじく音ですが、「V」は下唇を上の前歯に軽く当てて出す音で、動きがまったく違います。日本人の「B」は、母音の長さが足りなかったり子音がはっきりしなかったりすると、「V」とまぎらわしく届きます。窓口での聞き返しなら数分の損で済みますが、投資家との30分の面談では、それだけで印象が決まります。

面談前にやっておく4つの準備

準備内容目安
1. 数字を3つに絞る相手が必ず聞く数字を3つだけ選ぶ前日まで
2. 想定質問を10個書くうち3個は答えたくない質問にする前日まで
3. 固有名詞を音読する自社用語を声に出して確認する毎日10分
4. 録音して聞き直す想定問答を録音し、詰まる箇所を特定する面談前に1回

準備2の「答えたくない質問」を先に書き出すのが、いちばん効きます。人は答えたい質問の練習ばかりしてしまいますが、本番で評価が決まるのは答えたくない質問のほうです。資金繰り、離職率、計画未達の理由といった、聞かれたら嫌だと感じるものを3つ選び、それに対する言い方を用意してください。

準備4の録音は面倒に感じますが、自分の英語のどこがずれているかは自分では聞こえません。AI発音ツールは基本的な音の出し方の確認には使えますが、実際の対話で通じやすくなるところまでは届きにくいのが実情です。オンラインの会話練習も、会話の流れを重視するため、発音が不正確でも文脈で理解されてしまいます。会話練習と発音矯正は、別種のスキルを身につける作業だと考えてください。専任の講師に診断してもらい、直す箇所を絞るほうが、結果として早く仕上がります。

FAQ

Q: 通訳を入れれば、投資家対応は問題ありませんか?

A: 数字の説明や契約条件の確認であれば有効です。ただ、投資家は判断できる人と直接話したいと考えています。実質的なやりとりを通訳が担っている状態が続くと、相手の窓口も担当者クラスに下がることがあります。すべてを自分で話す必要はありませんが、質疑応答の中心は経営者本人が受けるほうが、結果は良くなりやすいです。

Q: 英語に自信がありません。準備すべきは発音と表現のどちらですか?

A: 場面を絞れば両方できます。まず自社の数字と固有名詞という、必ず出てくる部分の発音を直してください。表現は、確度の使い分けと「答えられないときの型」の2つに絞れば、実務ではかなり足ります。全体を底上げしようとすると時間が足りません。

Q: 想定外の質問で頭が真っ白になります。どうすればいいですか?

A: 沈黙を埋める短い一言を1つだけ決めておいてください。Let me make sure I understand the question. と言って質問を確認し直すだけで、数秒の余裕が生まれます。その数秒があれば、答えるか、持ち帰るかを判断できます。何も用意していないと、この数秒が作れません。

Q: 資料を英語で作れば、話す負担は減りますか?

A: 資料は助けになりますが、投資家が見ているのは資料ではなく質疑応答です。読み上げれば済む部分は資料に任せ、その分の時間を想定問答の練習に回すほうが効果があります。

投資家対応は、話し方ではなく順番で決まる

投資家との英語対話で外せないのは、悪い数字を先に出すこと、確度を段階で言い分けること、答えられないときの型を持つこと、自社の言葉を聞き返されない発音にすることの4つです。どれも語彙を増やす話ではなく、順番と型を決めておく話です。

まずは、次の面談で必ず聞かれる数字を3つ、答えたくない質問を3つ書き出してみてください。それだけで、準備すべき範囲がはっきりします。

プロナビのエグゼクティブコースでは、経営者・役員の方が実際に臨む場面から逆算して、発音の診断と想定問答の組み立てをマンツーマンで進めています。録音した想定問答を一緒に聞き直すところから、始めてみませんか。

この記事を書いた人

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サイト運営・日本語サポート担当 / AIエンジニア

  • 東京都出身・海外在住13年以上
  • IT歴36年以上(開発・SEO・AI)
  • IBM認定 生成AIエンジニア
  • CEFR B1の英語学習者(今も学習中)

外資系の現場で「英語が話せず評価が伸びない」苦しさを経験し、海外移住後も印刷所で「copy」が通じないような発音の壁に何度もぶつかってきました。今もプロ講師の指導を受けながら学習を続ける一人として、AI時代でも英語で悩む日本人ビジネスパーソンに向けて、現場目線で記事を書いています。日本語でのご相談やお問い合わせも私が担当します。

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