「値上げ」を英語で伝える技術|食品2,311品目値上げのニュースで学ぶ raise・hike・pass on・absorb の使い分け

2026年8月の食品値上げは2,311品目で前年の8割増。値上げラッシュのニュースを素材に、raise と hike の違い、コスト転嫁の pass on と据え置きの absorb、幅・時期・理由を明示する通知文の型を、ビジネス英語コーチングの視点で解説します。

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AIエンジニア / IT歴36年以上・海外在住13年以上のCEFR B1英語学習者

「値上げ」を英語で伝える技術|食品2,311品目値上げのニュースで学ぶ raise・hike・pass on・absorb の使い分け

2026年8月に値上げされる食品は2,311品目で、前の年の同じ月と比べて8割ほど増えました。1回あたりの値上げ幅は平均で15%です。取引先や海外の本社に、この状況を英語で説明する場面が急に増えています。

ところが、いざ書こうとすると手が止まります。「値上げ」と辞書で引くと raise も hike も出てくるので、どちらを使えばいいのか分かりません。

英語では、値上げそのものを指す言葉と、増えた分を誰が引き受けるかを表す言葉が、別々に用意されています。ここを分けて覚えると、通知文も交渉も一気に書きやすくなります。

要約

  • raise は値上げという動作を表す中立な語で、hike には急で大きいという感じが含まれます。自社から出す通知文では hike を避けます。
  • 増えたコストを相手に引き受けてもらうときは pass on、自社で引き受けるときは absorb を使います。
  • 通知文は、理由、これまでの対応、幅と発効日の順に書きます。率と日付を数字で書き切らないと、決定事項として扱われません。

ニュースは読めるのに、値上げの連絡が書けない

場面できることつまずくこと
英文記事を読むprice hike を値上げだと理解できる
取引先に通知を書くhike を使ってよいか判断できない
日本語から訳す「価格を改定します」が何も伝えない文になる

海外の記事を読むときは困りません。price hike と書いてあれば値上げのことだと分かりますし、記事の内容もつかめます。

困るのは、自分から書くときです。取引先に送る文面で hike を使っていいのか、それとも別の言い方があるのか、判断する材料を持っていません。

私自身、同じところでつまずきました。日本で外資系の医療機器メーカーに勤めていたころ、いちばん強く感じたのが、英語を聞く力と話す力の開きです。会議や電話で相手の言っていることは分かるのに、自分の考えは英語で思うように出てきません。このもどかしさを、何度も味わいました。読んで分かることと、自分で書けることは、まったく別の力なのだと知りました。

判断する材料がないので、日本語で考えた文をそのまま英語に置き換えることになります。すると「価格を改定させていただきます」が We will revise our prices. のような、相手に何も伝わらない一文になってしまいます。

関連: 交渉英語で押し負ける本当の理由|立場・交換・保留の3つで変わる外資系の交渉術 で詳しく解説しています。

raise と hike を同じ「値上げ」で覚えていることが原因

日本語含まれていない情報英語では
値上げ幅が大きいのか小さいのかraise と hike で分かれる
値上げコストを誰が引き受けるのかpass on と absorb で分かれる

日本語の「値上げ」は、幅の大きさも、良し悪しの感じ方も含まない言葉です。1%でも30%でも同じ「値上げ」と呼びます。

英語はここが違います。raise は上げるという動きを表すだけの中立な言葉ですが、hike には急で大きい、という感じが最初から入っています。新聞の見出しで hike がよく使われるのは、そのほうが目を引くからです。

さらに、値上げの話には「そのコストを誰が引き受けるのか」という問題がついてきます。日本語で言えば「転嫁する」と「自社で吸収する」の違いです。これに当たる英語を知らないまま値上げの単語だけで押し通そうとすると、説明がどんどん長くなります。

関連: 英語で意見が通らないのは順番のせい|立場・理由・裏づけの4段で組み立てるビジネス英語 で詳しく解説しています。

4つの言葉を使い分ける

意味通知文で使えるか
raise値段を上げるという動作。中立使える
hike急で大きな値上げ。くだけた言い方避ける
pass on増えたコストを相手に引き受けてもらう使える
absorb増えたコストを自社が引き受ける使える

raise は、値段を上げるという動作そのものを指します。We will raise our prices. のように、自分が主語になる文で使えます。名詞にしたいときは a price increase が無難です。

hike は、急で大きな値上げを指すくだけた言い方です。a price hike や a 15% hike のように名詞で使うことが多く、取引先に送る文面では避けます。自社の値上げを hike と呼ぶと、大幅に上げると自分から宣言することになります。

pass on は、増えたコストを相手に引き受けてもらうという意味です。We will pass on part of the increase to our customers. と書けば、上がった分の一部をお客様に負担していただく、と伝わります。

absorb は、その逆で自社が引き受けるという意味です。We have absorbed the higher costs so far. と書けば、これまでは自社で吸収してきたと伝えられます。値上げのお願いをする前にこの一文を置くと、話の通りがよくなります。

幅・時期・理由をそろえた通知文の型

順番書く内容
1理由Due to continued increases in raw material and logistics costs,
2これまでの対応We have absorbed these increases wherever possible.
3幅と時期we will need to pass on an average increase of 15%, effective October 1, 2026.

英語の通知文は、順番が決まっています。理由、これまでの対応、これからの措置、発効日、という並びです。

まず理由です。Due to continued increases in raw material and logistics costs, ... のように、何が上がったのかを具体的に挙げます。原材料と物流費は、実際に値上げの理由として最も多く挙がっています。

次に、これまでの対応を一文入れます。We have absorbed these increases wherever possible. と書いておくと、いきなりお願いを切り出す形になりません。

そのうえで、幅と時期を数字で示します。we will need to pass on an average increase of 15%, effective October 1, 2026. のように、率と発効日を同じ文に入れるのが基本です。曖昧にすると、必ず問い合わせが来ます。

つまずきやすいポイント

よくある書き方どう読まれるか直し方
幅を書かない決定事項として扱われない率か範囲を必ず入れる
from October月のどこからか分からないeffective October 1 と日付で書く
謝罪を重ねる値上げに自信がないと読まれる一度だけ添える

よく見かけるのは、幅を書かずに送ってしまう文面です。日本語の感覚では「詳細は追ってご連絡します」で通りますが、英語では数字のない通知は決定事項として扱われません

これは英語だけの話ではありません。マニラでの12年以上の経験から、日本の「間を読む」文化はフィリピンでは通用しないと実感しています。はっきり言葉にして伝えるほうが、結果として相手の立場も尊重できます。値上げの通知も同じで、察してもらう前提で書くと、必ず後から確認のやり取りが増えます。

時期の書き方も間違えやすいところです。from October では月のどこからか分からないので、effective October 1 と日付まで書きます。

もう一つは、謝りすぎることです。We are very sorry を何度も重ねると、値上げそのものに自信がないように読まれます。理由が正当なら、一度だけ添えれば十分です。

翻訳ツールや語彙アプリは、単語の意味を調べる分には役に立ちます。ただし、hike を使っていい場面かどうか、謝罪の量が多すぎないかといった判断は、実際の取引を想定した練習を重ねないと身につきません。専門の講師とのマンツーマンで、自分の書いた文を場面ごとに直してもらうのが、いちばん確実な方法です。ビジネス英語のコーチングでは、この直しの部分を重点的に扱います。

FAQ

Q: increase と raise はどう違いますか?

A: raise は上げるという動作を表す動詞で、increase は動詞にも名詞にも使えます。通知文で「値上げ」という名詞が必要なときは a price increase を選んでおくと外しません。

Q: hike は絶対に使ってはいけませんか?

A: 社内の会話や、市場全体の動きを説明する場面では自然に使えます。避けたいのは、自社から取引先に出す文面です。自分の値上げを hike と呼ぶと、大幅に上げると宣言したことになってしまいます。

Q: pass on は相手に失礼になりませんか?

A: 英語では事実を述べる言い方なので、それ自体が失礼になることはありません。前に absorb の一文を置いて、これまでの経緯を示しておくと受け取り方が変わります。

Q: 値上げ率をぼかして伝えたいときはどう書きますか?

A: 品目によって幅がある場合は、prices will increase by 5% to 15% depending on the item と範囲で示します。範囲すら出さない書き方は避けてください。

Q: 交渉で値上げ幅を抑えたいと言うときの表現はありますか?

A: Could you absorb part of the increase? のように、absorb を相手に向けて使う形があります。相手の負担をお願いする言い方なので、代わりに出せる条件を添えて話します。

まとめ

値上げを英語で伝えるときは、raise と hike を分け、コストを誰が引き受けるのかを pass on と absorb で書き分けます。この4つがそろえば、通知文も交渉も同じ材料で組み立てられます。

通知文は、理由、これまでの対応、幅と時期、という順番で書きます。幅と発効日を数字で書き切ることが、いちばん大事なところです。

次の値上げの連絡が来る前に、自社の文面を一度英語で書いてみてください。書いた文を場面ごとに直していく練習は、プロナビのビジネス英語コーチングでも扱っています。

参考・出典

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サイト運営・日本語サポート担当 / AIエンジニア

  • 東京都出身・海外在住13年以上
  • IT歴36年以上(開発・SEO・AI)
  • IBM認定 生成AIエンジニア
  • CEFR B1の英語学習者(今も学習中)

外資系の現場で「英語が話せず評価が伸びない」苦しさを経験し、海外移住後も印刷所で「copy」が通じないような発音の壁に何度もぶつかってきました。今もプロ講師の指導を受けながら学習を続ける一人として、AI時代でも英語で悩む日本人ビジネスパーソンに向けて、現場目線で記事を書いています。日本語でのご相談やお問い合わせも私が担当します。

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