「増えた」を英語で伝える技術|受注60.5%増のニュースで学ぶ rose・jumped・consecutive の使い分け
前年同月比60.5%増・3か月連続という日本語を英語にすると、比較対象・勢い・継続の3つが必要になります。by と to、percent と percentage points の違いまで、ビジネス英語の無料教材として解説します。

日本鍛圧機械工業会がまとめた2026年7月の鍛圧機械受注は、総額370億9,200万円で前年同月比60.5%増となりました。3か月連続の上昇で、プレス系機械の北米・中国向けが牽引したと報じられています。
この短い1行を英語で言おうとすると、日本人が必ず詰まる箇所が3つあります。何と比べて増えたのか、どのくらいの勢いで増えたのか、そして何か月続いているのかです。
| 詰まる箇所 | 日本語 | 英語で必要になるもの |
|---|---|---|
| 比較の対象 | 前年同月比 | year on year / from a year earlier |
| 増え方の強さ | 60.5%増 | rose / jumped / surged の使い分け |
| 継続の表現 | 3か月連続 | third consecutive month / third straight month |
日本語は「前年同月比60.5%増、3か月連続」で終わります。英語では、この3つをすべて文の中に置かなければ意味が通りません。
私はフィリピンに12年以上住んでいますが、日本語のあいまいな表現を英語の明確な表現に変換する判断が、いちばん難しいと感じています。「増えた」という日本語は、何と比べたのかを言っていません。英語では、そこが最初に問われます。
要約
- 日本鍛圧機械工業会の2026年7月の鍛圧機械受注は、総額370億9,200万円で前年同月比60.5%増、3か月連続の上昇でした。
- この1行を英語で言おうとすると、必ず詰まる箇所が3つあります。何と比べて増えたのか、どのくらいの勢いか、何か月続いているのかです。
- rose と jumped の使い分け、連続を表す言い方まで、実際の数字を使って整理しました。
日本人がつまずく4つの場面
| つまずく場面 | 起きること |
|---|---|
| 比較の対象を言わない | 何に対して増えたのか伝わらず、聞き返される |
| すべて increase で言う | 平板になり、60%の勢いが伝わらない |
| percent と percentage point を混同する | 数字の意味が変わり、誤解が残る |
| continuous を使ってしまう | 「途切れない」の意味になり、月単位の連続を表せない |
比較の対象を言い忘れます
Orders rose 60.5 percent. と言うと、聞き手は必ず「何に対して?」と考えます。前月比なのか、前年同月比なのかで、話の意味がまったく変わるためです。
日本語の報道では「前年同月比」が省略されることもありますが、英語では省けません。year on year か from a year earlier を必ず添えてください。
関連: 英語で数字を読み上げる技術|億・兆・小数点・年度が伝わらない4つの原因 で詳しく解説しています。
すべてを increase で言ってしまいます
increase は正確ですが、平板です。60.5%という数字の勢いは伝わりません。
英語は増え方の強さを動詞で表します。数パーセントなら rose、二桁の大きな伸びなら jumped や surged が自然です。動詞を選ぶこと自体が、情報の一部になっています。
関連: 英語の相槌が会話を止める|日本語のあいづちを英語のリズムに合わせる4つの調整 で詳しく解説しています。
percent と percentage point を混ぜてしまいます
これは実務で最も誤解を生みます。
- 60.5 percent — 元の数字に対して60.5%増えたという意味です
- 60.5 percentage points — 割合そのものが60.5ポイント動いたという意味です
受注額の増減は percent、シェアや金利のように「もともと%で表される数字」の増減は percentage points を使います。ここを間違えると、金額の桁が変わって伝わります。
continuous を使ってしまいます
3か月連続を three continuous months と表すことはできません。continuous は「途切れずに続いている状態」を指す語で、月ごとに区切って数える文脈には合いません。
正しくは third consecutive month か third straight month です。straight のほうが会話寄りで、見出しでもよく使われます。
「増えた」を伝える語の使い分け
| 増え方 | 使う動詞 | 例 |
|---|---|---|
| 小幅(数%) | rose / increased | Orders rose 3 percent. |
| 大幅(二桁) | jumped / surged | Orders jumped 60.5 percent. |
| 急激で予想外 | soared | Orders soared to a record high. |
| 名詞で言う | a rise / a jump / a surge | a 60.5 percent jump in orders |
rose は最も安全な語です
社内報告でも決算資料でも使えます。迷ったときは rose を選んでください。誤解を生みません。
過去形は rose、過去分詞は risen です。raise(他動詞、~を上げる)と混同しやすいので、主語が数字なら rise だと覚えておくと確実です。
jumped と surged は二桁向けです
60.5%のような伸びには jumped が自然です。surged はさらに勢いのある印象になり、株価や需要の急増でよく使われます。
小さな伸びに jumped を使うと、大げさに聞こえます。3%の増加を Orders jumped 3 percent. と言うと、聞き手は「何かあったのか」と身構えます。
by を入れるかどうかで意味が変わります
これは前置詞の問題で、金額の理解に直結します。
- Orders rose by 60.5 percent. — 60.5%分だけ増えたという意味です
- Orders rose to 37 billion yen. — 370億円の水準まで増えたという意味です
by は増加の幅、to は到達した水準を示します。by は省略できますが、to は省略できません。
「3か月連続」の言い方を対で覚えます
- for the third consecutive month(第3か月目として連続している)
- for the third straight month(同じ意味、やや会話寄り)
- the third month in a row(口語で最もよく使われます)
どれを使っても構いませんが、序数(third)が必要である点は共通しています。three months in a row では「3か月間続いた」という別の意味になり、まだ続いているかどうかが曖昧になります。
牽引した要因の言い方
「プレス系が米・中をけん引」のような部分は、driven by か led by で表します。
- The rise was driven by press machines. (その伸びはプレス系機械によるものでした)
- Press machines led the increase. (プレス系機械が伸びを牽引しました)
driven by は要因を、led by は主役を示します。報告書では driven by のほうが多く使われます。
今日から使える4つの練習
| 練習 | 所要時間 | ねらい |
|---|---|---|
| 今回のニュースを3行で書く | 10分 | 比較対象・勢い・継続を1文ずつ入れる |
| 自社の数字を4通りで書く | 10分 | 動詞による印象の差を体で覚える |
| 見出しの動詞を1週間観察する | 毎日3分 | 実際にどの語が選ばれるかを知る |
| 声に出して読む | 毎日3分 | 会議で口に出せるようにする |
今回のニュースを3行で書きます
まず、これを書いてみてください。
- Japan's forging and press machine orders totalled 37.09 billion yen in July.
- That was up 60.5 percent from a year earlier, the third consecutive month of growth.
- The rise was driven by press machines shipped to North America and China.
2行目に「前年同月比」と「3か月連続」の両方が入っていることを確認してください。日本語では1行で済む部分が、英語では2つの情報として扱われます。
自社の数字を4通りで書きます
同じ内容を、rose、jumped、a jump(名詞)、up(前置詞句)の4つで書き分けてください。
- Sales rose 12 percent year on year.
- Sales jumped 12 percent year on year.
- We saw a 12 percent jump in sales.
- Sales were up 12 percent from a year earlier.
4つ目の up を使った形は、口頭の報告で最もよく使われます。動詞を選ばずに済むので、会議で詰まりません。
見出しの動詞を1週間観察します
英語のビジネスニュースの見出しは、jump、surge、soar、climb を好みます。短くて強いためです。本文に入ると rose や increased に変わることが多くなります。
見出しと本文で語が変わることに気づけると、書き手が何を強調したいのかまで読めるようになります。
声に出して読みます
書けても、会議で口に出せるとは限りません。私は外資系にいたころ、相手の話は聞き取れるのに、自分の発音や言い回しのせいで意図が正確に届かない場面が多くありました。「聞く力」と「話す力」の差の大きさを痛感した経験です。
発音では、percent の第2音節を強く読んでください。日本語の「パーセント」の感覚で平らに読むと、聞き取ってもらえません。surge は語尾の -ge を濁らせる音で、search(サーチ)と混同されやすい語です。consecutive は第2音節を強く読みます。
自分の音が正しいかどうかを自分で判断するのは、母語の癖が邪魔をするため難しい作業です。プロナビのようなマンツーマンの指導では、講師が音を聞き分けて具体的に指示できるので、独学より確実に早く進みます。AIの発音チェック機能は補助としては有効ですが、日本人特有の癖を切り分けて直すには、TEFL / TESOL やBPOの現場で訓練を受けた講師との指導が必要です。
FAQ
Q: year on year と year over year はどう違いますか?
A: 意味は同じで、地域による好みの差です。year on year(YoY)はイギリス系の資料や国際機関で多く、year over year は北米の企業資料でよく見かけます。どちらを使っても通じるので、自社が普段使っている資料の表記に合わせてください。混在させないことのほうが重要です。
Q: 「3か月ぶりの増加」は英語でどう言いますか?
A: the first increase in three months が最も自然です。「3か月連続の増加」との違いに注意してください。連続は third consecutive month、久しぶりは first in three months で、意味が正反対になります。この2つを取り違えると、業績の方向がまったく逆に伝わります。
Q: 数字は日本語のまま「億」で言ってもよいですか?
A: 通じません。英語には「億」に相当する単位がなく、billion(10億)と million(100万)で表します。370億9,200万円なら 37.09 billion yen です。1億=100 million、10億=1 billion と覚えておくと、その場で換算できます。桁を間違えると信用に関わるので、事前に書いて確認してください。
Q: 数字が減ったときはどの動詞を使いますか?
A: 増加の語と対で覚えてください。rose ↔ fell、jumped ↔ plunged、surged ↔ tumbled が対応します。小幅な減少なら slipped や edged down も使えます。increase の対義語として decrease もありますが、会話では fell のほうが自然です。
Q: 見通しを述べるときはどう言えばよいですか?
A: 断定を避ける形にしてください。Orders are expected to rise. や We expect orders to rise. のように expect を使うのが安全です。will rise と言い切ると、根拠を求められたときに答えられません。社外への説明では、この差が信頼に関わります。
「増えた」の一言に、3つの情報が入っています
「前年同月比60.5%増、3か月連続」という短い日本語を英語にするには、比較の対象、増え方の強さ、継続の月数の3つを文の中に置く必要があります。
そして by と to、percent と percentage points、consecutive と continuous は、どれも間違えると数字の意味が変わります。語彙の問題ではなく、正確さの問題です。
今日の一歩として、今回のニュースを3行の英語で書いてみてください。2行目に「前年同月比」と「3か月連続」の両方を入れられたなら、この教材は身についています。実際の場面で通じる発音まで含めて整えたい方は、プロナビの発音診断で現在地を確認するところから始められます。
参考・出典
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