なぜ日本人だけを教えるのか|母語が同じ生徒に絞ると英語指導はここまで変わる
日本人の英語には母語の音の仕組み・学校での学び方・話すときの気の使い方という共通の型があります。母語を絞ることで診断が速くなり練習が濃くなる理由と、「日本人向け」を掲げる英語コーチングを選ぶときの4つの確認点を、海外での実体験を交えて解説します。

英語コーチングを選ぶとき、「いろいろな国の生徒を教えている先生」のほうが経験豊富に見えるかもしれません。ただ、日本人が英語でつまずく場所には、はっきりした共通の型があります。この型を知り尽くした指導と、誰にでも当てはまる一般的な指導では、同じ時間をかけても伸び方が変わります。この記事では、日本人だけに絞って教えることの意味と、それが具体的にどう指導を変えるのかを解説します。
要約
- 日本人が英語でつまずく場所には、はっきりした共通の型があります。母語の音の仕組みと、学校での学び方が同じだからです。
- つまずく音とリズムがほぼ一致し、得意な部分と苦手な部分も揃います。だから先回りできます。
- 型を知り尽くした指導と、誰にでも当てはまる一般的な指導では、同じ時間をかけても伸び方が変わります。
日本人の英語には共通の型がある3つの理由
| 理由 | 何が共通するか |
|---|---|
| 母語の音の仕組みが同じ | つまずく音とリズムがほぼ一致する |
| 学校での学び方が同じ | 得意な部分と苦手な部分が揃う |
| 話すときの気の使い方が同じ | 遠慮の仕方まで似た形になる |
第一の理由は、母語の音の仕組みが同じことです。日本語は等間隔に近いリズムで音を並べる言語で、英語は強弱の差でリズムを作る言語です。この違いから生まれるつまずきは、日本人であれば驚くほど共通します。私はマニラに12年以上住んでいますが、日本でカタカナ表記されている英語をそのまま発音して通じなかった経験が何度もあります。「ビークル(vehicle)」「アルコール(alcohol)」「ネセサリー(necessary)」「ジャンル(genre)」は友達との会話で通じず、「キャリア(career)」はビジネスの会話で通じませんでした。これらは私だけの問題ではなく、日本語を母語とする人がほぼ同じ場所でつまずきます。
第二の理由は、学校での学び方が同じことです。読解と文法は積み上げてきたのに、話す訓練の量が少ない——この形は、日本の学校教育を受けた人にほぼ共通します。だから「文法は分かるのに会議で発言できない」という悩みが、これほど多くの人から同じ言葉で語られます。
第三の理由は、話すときの気の使い方が同じことです。断定を避ける、相手の反応を待ってから話す、間違いを恐れて口を開かない——これらは性格ではなく、日本語での会話作法をそのまま英語に持ち込んでいるために起きます。国籍が違えば、この持ち込み方も違ってきます。
関連: TEFL / TESOL資格だけでは足りない理由|日本人に本当に伝わる英語指導に必要なもの で詳しく解説しています。
母語が違う生徒を一緒に教えるときに起きること
| 起きること | 何が失われるか |
|---|---|
| 診断が浅くなる | つまずきの原因を特定しきれない |
| 練習が広く浅くなる | 全員に当てはまる内容に薄まる |
| 説明の言葉が届かない | 日本語の感覚に沿った説明ができない |
第一に、診断が浅くなります。同じ「発音が通じない」でも、母語によって原因はまったく違います。日本語話者ならリズムと母音の問題、別の言語の話者なら子音の問題、という具合です。全員をまとめて見ると、原因ではなく症状に対処することになります。
第二に、練習が広く浅くなります。クラスに複数の母語が混ざると、教材は誰にとっても無難な内容に落ち着きます。日本人が本当に時間を割くべき部分に、集中して取り組めなくなります。
第三に、説明の言葉が届きにくくなります。「日本語のコ・ピ・ーは3拍だが、英語のcopyは2音節」といった説明は、日本語の感覚が分かる相手にしか通じません。私も "afternoon" を「ア・フ・タ・ヌ・ー・ン」と6つの拍で並べていたために通じなかったことがあります。原因はまさにこのリズムの差でしたが、これを日本語の拍の感覚から説明してもらえるかどうかで、理解の速さがまったく変わります。
日本人に絞ると変わる3つのこと
| 変わること | 具体的な内容 |
|---|---|
| 診断が速くなる | よくあるつまずきから当たりをつけられる |
| 練習が濃くなる | 日本人が伸びる項目に時間を使える |
| 説明が届く | 日本語の感覚に置き換えて説明できる |
第一に、診断が速くなります。日本人の典型的なつまずきを知っていれば、少し話を聞いただけで原因の見当がつきます。「その音が通じないのは、たぶんリズムのほうです」と早い段階で言えるかどうかで、無駄になる練習の量が変わります。
第二に、練習が濃くなります。限られたレッスン時間を、日本人が伸びる項目に集中して使えます。全員向けの網羅的な内容ではなく、あなたが実際につまずいている場所だけを扱えるということです。
第三に、説明が届きます。英語の強弱を日本語の拍と対比して示す、カタカナ表記が邪魔をしている箇所を名指しする——こうした説明は、日本語の感覚を共有しているからこそ成り立ちます。理解が速ければ、直るのも速くなります。
関連: なぜBPO出身講師がビジネス英語に強いのか?実務で鍛えられた英語力が日本人の学習に効く理由 で詳しく解説しています。
「日本人向け」を選ぶときの4つの確認点
| 確認点 | 見るべきところ |
|---|---|
| 診断があるか | 最初に弱点を特定してくれるか |
| 日本語で説明できるか | つまずきの理由を日本語で言えるか |
| 現場経験があるか | 教科書でなく実務の英語を知っているか |
| 個別に合わせるか | 決まった教材を流すだけになっていないか |
第一の確認点は、診断があるかどうかです。いきなり教材を進めるのではなく、あなたの弱点がどこにあるかを最初に見てくれるかを確かめてください。日本人向けを掲げていても、診断がなければ一般的な指導と変わりません。
第二の確認点は、つまずきの理由を日本語で説明できるかです。「もう一度言ってみて」で終わらず、「日本語のこの音の癖が出ています」と原因を言葉にできる講師かどうかを見てください。ここが「日本人を分かっている」の実体です。
第三の確認点は、現場経験です。教科書の英語と、実際の商談やクレーム対応で飛び交う英語は違います。ビジネスの現場を知っている講師なら、正しさだけでなく「現場で本当に通じる形」を教えられます。
第四の確認点は、個別に合わせてくれるかです。決まったカリキュラムを順に流すだけなら、日本人向けである意味が半減します。体験レッスンで、自分の課題に合わせて内容が変わるかを確かめてみてください。
関連: 「中止」「延期」「見合わせ」「再開」を英語で伝える技術|業務停止のニュースで学ぶ4つの動詞の使い分け で詳しく解説しています。
FAQ
Q: いろいろな国の生徒を教えている講師のほうが、経験豊富ではないですか?
A: 経験の幅は広くなりますが、深さは別の話です。日本人のつまずきは母語の仕組みに根ざしているため、そこを掘り下げた経験のほうが直接効きます。幅広さより、あなたと同じ場所でつまずいた人を何人見てきたかが重要です。
Q: 日本人講師と、日本人指導に慣れた外国人講師では、どちらがよいですか?
A: どちらにも強みがあります。大切なのは国籍ではなく、日本語の音の癖を理解していて、それを言葉で説明できるかです。体験レッスンで「なぜ通じなかったのか」を尋ねてみると、その力が分かります。
Q: 日本人向けの指導では、多様な英語に対応できなくなりませんか?
A: そうはなりません。土台となる発音とリズムが安定すれば、どの国の相手にも届きやすくなります。私はフィリピンで12年以上、マカティのビジネスの場でフィリピン系・中華系・欧米系それぞれの英語の違いを毎日体験していますが、伝わる人は相手が誰でも伝わります。まず自分の音を整えるほうが、結果として多様な相手に強くなります。
Q: すでにある程度話せる人にも、日本人向けの指導は必要ですか?
A: むしろ必要になる場面があります。ある程度話せる人ほど、残っている癖が本人には見えなくなっているためです。伸び悩みを感じている方こそ、日本人特有のつまずきという観点で一度見てもらう価値があります。
まとめ:絞ることで、指導は深くなる
日本人だけを教えるという選択は、対象を狭めることではなく、指導を深くするための設計です。母語の音の仕組み、学校での学び方、話すときの気の使い方——この3つが共通しているからこそ、診断が速くなり、練習が濃くなり、説明が届きます。講師を選ぶときは、資格や国籍だけでなく、「なぜ通じなかったのか」を日本語で説明してくれるかを確かめてみてください。
プロナビでは、TEFL・TESOL資格に加えてBPO(ビジネス現場)での指導経験を持つ専任講師が、日本人特有の弱点を診断し、一人ひとりに合わせた発音・ビジネス英語の指導を行います。「自分の癖がどこにあるのか分からない」という方は、無料体験レッスンでご自身の課題を確かめてみてください。
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