【英語発音矯正】RとLの違いが聞き取れない・発音できない原因を構造的に解説
日本人が苦手なRとLの英語発音を矯正するために、舌・口・脳の使い方の違いを構造的に解説。発音できない本当の原因と効果的な練習法を紹介。

要約
- 日本人のRとL発音困難は、日本語のラ行が英語のRとLの中間音であり、舌・口・脳の使い方が根本的に異なることが原因
- Lは「舌先を歯茎に押し当てる音」、Rは「舌をどこにも触れさせない音」という身体感覚での区別が重要
- ミニマルペア練習や音声入力チェックなど実践的な練習法により、継続的に「接触/非接触」の感覚を身体に定着させる必要がある
RとLの発音が「地獄」と呼ばれる構造的な理由
| 要因 | 内容 |
|---|---|
| 身体的違い | 舌の動かし方、口の中の空間の使い方が日本語と英語で根本的に異なる |
| 脳の処理方法 | 日本語と英語で音を分類する仕組みが違い、練習不足や聴力の問題ではない |
| 構造的問題 | 身体の使い方と脳の処理方法の両方にズレがあることが「地獄」の原因 |
英語の発音で日本人が最もつまずくポイントとして、真っ先に挙がるのがRとLの区別です。「right」と「light」、「read」と「lead」——意味がまったく異なるのに、聞いても違いがわからない、発音しても通じない。この問題に長年苦しんでいる方は少なくありません。
RとLの区別は、日本人が英語発音で最もつまずきやすいポイントの一つです
しかし、RとLが難しいのは「練習不足」や「耳が悪い」からではありません。日本語と英語では、舌の動かし方、口の中の空間の使い方、そして脳が音を分類する仕組みが根本的に異なっています。つまり、身体の使い方と脳の処理方法の両方にズレがあるからこそ、RとLは「地獄」になるのです。
この記事では、RとLの問題を「舌」「口」「脳」の3つの観点から構造的に分解し、なぜ難しいのか、どうすれば改善できるのかを説明していきます。
日本人がRとLで犯しやすい発音ミスとその原因
| ミスの種類 | 原因・詳細 |
|---|---|
| ラ行音での代用 | 日本語のラ行は弾き音で、RでもLでもない第三の音を使ってしまう |
| 典型的混同例 | 「rice/lice」「rock/lock」が同じ音になり、舌先が口の天井に触れてしまう |
| 聞き分け困難 | 脳の音韻カテゴリーの問題で、日本語話者の脳にはラ行用の棚が1つしかない |
日本語のラ行はRでもLでもない
多くの日本人が最初にぶつかる壁は、「日本語のラ行音で代用してしまう」ことです。日本語のラ行は、舌先を上の歯茎の裏あたりに一瞬だけ軽く弾く動作で出す音です。これは言語学では「弾き音(はじきおん)」と呼ばれる種類の音で、英語のRとも英語のLとも異なる、第三の音です。
つまり、日本語話者はRとLの「中間」にある音を母語として持っているため、英語のRやLを発音しようとしても無意識に日本語のラ行に引き寄せられてしまいます。
関連: 日本人が苦手な英語発音トップ10|発音矯正のプロが教える理由と改善法 で詳しく解説しています。
よくある具体的なミスパターン
「rice」と「lice」が同じ音になるのは最も典型的な例です。日本語話者が「rice」を発音すると、舌先が口の天井に触れてしまい、ネイティブにはどちらの単語かわからなくなります。同様に「rock」と「lock」、「river」と「liver」なども混同されやすい組み合わせです。
また、語の途中や語尾のRとLも問題になります。たとえば「world」という単語は、RとLの両方を含んでいるため、日本語話者にとっては特に発音しにくい単語の代表格です。
関連: 日本語にない英語の音一覧|発音矯正の第一歩は「存在しない音」を知ること で詳しく解説しています。
「聞き分けられない」のは耳ではなく脳の問題
RとLが聞き分けられない原因は、聴力の問題ではありません。人間の脳は、母語で使われる音の区別には敏感になり、母語で区別しない音の違いには鈍感になるように発達します。これを「音韻カテゴリー」の問題と呼びます。簡単に言えば、脳が音を自動的に仕分けする「棚」の数と位置が、言語ごとに異なるということです。
日本語の脳にはラ行音用の棚が1つしかないため、英語のRもLも同じ棚に入れてしまいます。英語話者の脳にはRとLそれぞれに別の棚があるため、まったく違う音として処理されます。
舌・口・脳——3つの視点からRとLの正しい出し方を理解する
| 音 | 舌の位置 | その他の特徴 |
|---|---|---|
| L音 | 舌先を上の歯茎にしっかり押し当てる | 息は舌の横から流れ出る側面接近音 |
| R音 | 舌はどこにも触れない(最重要) | 唇を軽く丸めて前に出し、こもった響きを作る |
| 脳の判断基準 | 「接触/非接触」という身体感覚 | この基準を脳にインストールすることが改善の鍵 |
RとLの違いを「舌の位置が違う」という一言で片付けてしまう説明をよく見かけますが、実際にはもっと複雑です。舌だけでなく、口全体の形と、脳の意識の向け方を理解することが大切です。
RとLの発音は舌の接触の有無だけでなく、唇の形や脳の意識の向け方も重要です
Lの音:舌先を「つける」音
英語のLは、舌先を上の前歯のすぐ裏側(歯茎)にしっかりと押し当てて出す音です。ポイントは「触れる」のではなく「押し当てる」という感覚です。日本語のラ行が舌先を一瞬弾くのとは対照的に、Lでは舌先が歯茎にしっかり接触した状態を保ちます。
このとき、舌の両脇(側面)は下がっており、息は舌の横を通って外に出ていきます。Lは「側面接近音(そくめんせっきんおん)」と呼ばれますが、これは文字通り息が舌の側面から流れ出るからです。
意識すべきポイントをまとめると、次のようになります。
- 舌先を上の歯茎にしっかり押し当てる
- 舌の両脇を下げて、息の通り道を横に作る
- 舌先は歯茎に触れたまま声を出す
Rの音:舌をどこにも「つけない」音
英語のRの最大の特徴は、舌がどこにも触れないことです。これがLとの決定的な違いです。
Rを出すには2つの方法があり、どちらも正しい発音として認められています。1つ目は、舌先を口の奥に向かって丸め上げる方法です。舌先は口の天井に近づきますが、触れません。2つ目は、舌全体の真ん中あたりを盛り上げる方法です。この場合、舌先はむしろ下がっています。
どちらの方法でも共通しているのは、唇を少し丸めて前に突き出す動作が加わることです。鏡を見ながらRを発音してみると、唇が軽くすぼまるのが確認できるはずです。Lでは唇の形はほとんど変わりません。
Rの感覚をつかむためのポイントは次の通りです。
- 舌はどこにも接触させない(これが最重要)
- 舌先を奥に引くか、舌の中央部を持ち上げる
- 唇を軽く丸めて前に出す
- 口の中の空間を狭くして、こもった響きを作る
脳の使い方:「触れる/触れない」で判断する
LとRの物理的な違いは「舌が歯茎に触れるかどうか」という一点に集約できます。この「接触/非接触」という判断基準を脳にインストールすることが、聞き分けと発音の両方を改善する鍵になります。
私自身、マニラで長年英語を日常的に使う環境にいながら、RとLの区別にはかなり苦労しました。最初は舌の形を意識するだけで解決すると甘く考えていました。しかし実際には地道に「触れるか触れないか」という身体感覚を繰り返し確認する練習を続けて、ようやく少しずつ自分の発音のズレが把握できるようになりました。一朝一夕で身につくものではなく、継続的な練習が不可欠だと実感しています。
脳が新しい音韻カテゴリーを作るには、明確な基準が必要です。「なんとなく違う音」ではなく、「舌が触れたらL、触れなかったらR」という身体感覚に紐づいた基準を持つことが重要です。この基準により、脳は徐々にRとLを別々の棚で処理できるようになっていきます。
RとLを区別するための実践的な練習法
| 練習法 | 内容 | 目的 |
|---|---|---|
| 舌先タッチ確認法 | L「ラー」とR「ルー」を交互に発音 | 接触・非接触の身体感覚を覚える |
| ミニマルペア練習 | light-right等のペアを交互発音 | 舌の歯茎への接触を毎回確認 |
| 文中練習・音声入力チェック | 短文での実践、スマホでの認識確認 | 実用的な場面での定着と簡易チェック |
ここからは、RとLの区別を身体に定着させるための具体的な練習ステップを紹介します。
音声入力などのツールも活用しながら、RとLの区別を身体に定着させていきましょう
練習1:舌先タッチ確認法
まず、LとRの物理的な違いを身体で確認する練習です。
- 舌先を上の歯茎にしっかり押し当てて「ラー」と声を出す。このときの音がLに近い音です
- 次に、舌先をどこにも触れさせずに、舌を少し奥に引いた状態で「ルー」と声を出す。唇を軽くすぼめることも忘れないでください。これがRに近い音です
- この2つを交互に繰り返し、舌が歯茎に「触れている」感覚と「触れていない」感覚の違いを明確に意識します
この練習は1回あたり1〜2分で十分です。大切なのは回数よりも、接触・非接触の違いを身体感覚として覚えることです。
練習2:ミニマルペア(最小対)で交互練習
ミニマルペアとは、1つの音だけが違う単語のペアのことです。RとLの練習には最適な素材です。
- light — right
- lead — read
- long — wrong
- low — row
- lock — rock
- fly — fry
- glass — grass
- collect — correct
これらのペアを交互に発音する際、毎回「今、舌は歯茎に触れているか?」と自分に問いかけてください。Lの単語では触れている、Rの単語では触れていない、という確認を繰り返します。
練習3:文の中での練習
単語単体では区別できても、文の中に入ると崩れてしまうことがあります。短い文で練習してみましょう。
- "I really like the light."(この文にはRとLの両方が含まれています)
- "The road is long."
- "Please read the letter."
文を読むときは、ゆっくりで構いません。RとLが出てくるたびに一瞬立ち止まり、舌の位置を確認してから声に出す習慣をつけます。速さは後からついてきます。
練習4:スマートフォンの音声入力を使ったセルフチェック
スマートフォンの言語設定を英語にした状態で音声入力を使うと、自分の発音が機械にどう認識されているかを確認できます。たとえば「right」と言ったつもりなのに「light」と表示されたら、舌が歯茎に触れてしまっている可能性があります。
ただし、音声入力はあくまで簡易的な確認手段です。機械は文脈から推測して補正することがあるため、正確に表示されたからといって発音が完璧とは限りません。自分の発音のクセを正確に診断し、体系的に矯正していくには、発音の専門知識を持った講師による指導が不可欠です。プロナビでは、一人ひとりの発音の問題点を分析した上で、最適な矯正プランを提供しています。
FAQ
Q: RとLの聞き分けは大人になってからでも上達しますか?
はい、大人でも聞き分け能力は向上します。確かに幼少期と比べると脳の柔軟性は下がりますが、意識的なトレーニングによって新しい音韻カテゴリーを脳内に構築することは十分に可能です。「触れるか触れないか」という身体感覚に注目する方法は、大人の学習者に特に有効とされています。
Q: 語の途中や語尾にあるRとLも同じように区別すれば良いですか?
基本的な原理は同じですが、語尾のLは「暗いL(ダークL)」と呼ばれる変形になることが多い点に注意が必要です。ダークLでは、舌先は歯茎に触れますが、同時に舌の奥が持ち上がり、こもった響きが加わります。語尾のRは舌を引いた状態で終わります。語の位置によって音の質感が変わるため、さまざまな位置での練習が大切です。
Q: どのくらい練習すればRとLの区別が自然にできるようになりますか?
上達のスピードは人それぞれですが、毎日数分の意識的な練習を続ければ、数週間で自分の発音の変化を感じ始める方が多いです。ただし「意識しなくても自動的に区別できる」レベルに達するには、より長期的な取り組みが必要です。独学での練習に加えて、専門の講師に定期的にチェックしてもらうことで、効率よく上達できます。
Q: 「巻き舌」ができないとRは発音できませんか?
いいえ、英語のRに巻き舌は必須ではありません。先述の通り、Rの出し方には舌先を丸める方法と舌の中央部を盛り上げる方法の2種類があります。巻き舌が苦手な方は、舌先を下げたまま舌の真ん中を持ち上げ、唇を軽くすぼめる方法を試してみてください。どちらの方法でも英語話者には同じRとして聞こえます。
Q: 英語のRとLの違いは、アメリカ英語とイギリス英語で異なりますか?
Lの発音は大きな違いはありませんが、Rには違いがあります。アメリカ英語ではほぼすべてのRをはっきり発音しますが、イギリス英語(特にイングランド南部の標準的な発音)では、母音の後のRを発音しない傾向があります。たとえば「car」という単語で、アメリカ英語では最後にRの音が聞こえますが、イギリス英語では母音が伸びるだけでRの音はほぼ聞こえません。ただし、LとRの「舌が触れるか触れないか」という区別自体は、どちらの英語でも共通です。
まとめ:RとLの克服は「舌の接触」を意識することから始まる
RとLの問題は、日本語と英語の間にある構造的な違い——舌の使い方、口の形、脳の音の分類方法——から生まれています。これは日本語話者なら誰もが直面する課題であり、「才能がない」「耳が悪い」ということではありません。
改善のための第一歩は、「Lは舌先が歯茎に触れる音、Rは舌がどこにも触れない音」というシンプルな基準を身体で覚えることです。この基準を持った上でミニマルペアや文の練習を重ねていけば、脳も徐々にRとLを別々の音として認識できるようになっていきます。
独学での練習はもちろん大切ですが、自分では気づけないクセや微妙なズレを修正するには、専門家の耳と知識が必要です。プロナビでは、RとLの問題を含め、日本語話者が抱える発音の課題を一つひとつ丁寧に診断・矯正しています。自分の発音を根本から見直したいと感じた方は、ぜひプロナビの体験レッスンを検討してみてください。
