日本語にない英語の音一覧|発音矯正の第一歩は「存在しない音」を知ること
日本語に存在しない英語特有の音素を一覧で解説。舌・口・歯の位置から正しい出し方を学び、発音矯正の基礎を固めましょう。

Summary
- 英語の発音が通じない主な原因は、日本語に存在しない英語特有の音を日本語の似た音で置き換えてしまうことにある
- 日本語話者が苦手とする英語の音には、f/v/th/r/lなどの子音と、hat/hot/hutなどの母音の区別があり、それぞれ舌・口・歯の正確な位置が重要
- 鏡を使った口の形確認、最小対での練習、段階的な練習拡張などの具体的な練習法により、日本語にない音を身体に定着させることができる
日本語に存在しない英語の音を知ることが発音矯正の出発点
| 言語 | 音の特徴 | 発音矯正のポイント |
|---|---|---|
| 日本語 | 母音5つ、比較的少ない音の種類 | 音の在庫の差を理解する |
| 英語 | 母音十数種類、日本語にない摩擦音・破擦音 | 口の中の物理的な動きを理解 |
英語の発音が通じない原因の多くは、日本語にそもそも存在しない音を、日本語の似た音で置き換えてしまうことにあります。
日本語にない音を知ることが、英語発音矯正の第一歩になる
日本語の音の種類は比較的少なく、母音は「あ・い・う・え・お」の5つが基本です。一方、英語には母音だけでも十数種類あり、子音も日本語にはない摩擦音や破擦音が複数存在します。この「音の在庫の差」を理解しないまま練習を続けても、根本的な改善にはつながりにくいのが実情です。
この記事では、日本語話者が特に苦手とする英語特有の音を一覧にまとめ、それぞれの音の出し方を舌・口・歯の物理的な動きに基づいて解説します。発音記号やカタカナに頼らず、「口の中で何が起きているか」を理解することで、自分の発音を根本から見直すきっかけにしてください。
日本語話者が陥りやすい発音の置き換えミス
| ミスの種類 | 具体例 | 原因 |
|---|---|---|
| 近い音への置き換え | f→フ、th→s/z、l/r→ラ行 | 脳が自動的に近い日本語音を選択 |
| 母音の挿入 | strike→3音節化 | 日本語のモーラリズムの影響 |
| 母音の区別不足 | hat/hot/hut→すべて「ア」 | 英語の複数母音を認識できない |
日本語話者が英語を話すとき、無意識に起こしているミスには共通のパターンがあります。代表的なものを以下に整理します。
「近い音」への置き換え
日本語にない音に出会うと、脳は自動的に日本語の中で最も近い音を選んで代用します。たとえば英語の「f」の音は、上の前歯を下唇に軽く当てて息を出す摩擦音ですが、多くの日本語話者は両唇を使った「フ」の音で置き換えます。日本語の「フ」は上の歯を使わず、両唇の隙間から息を出す音なので、英語話者の耳にはまったく別の音として聞こえます。
同様に、英語の「l」と「r」を両方とも日本語のラ行で発音してしまうケース、「th」の音を「s」や「z」で代用してしまうケースなども非常に多く見られます。
母音の挿入
日本語はほぼすべての子音の後ろに母音がつく構造(モーラ=拍のリズム)を持っています。そのため、英語の子音が連続する部分や、語末の子音の後に不要な母音を入れてしまいがちです。たとえば「strike」は英語では1音節(syllable)の単語です。しかし母音を挿入して3音節のように発音してしまうと、英語話者には別の単語のように聞こえることがあります。
関連: 日本人が苦手な英語発音トップ10|発音矯正のプロが教える理由と改善法 で詳しく解説しています。
母音の区別がつかない
英語には、日本語の「あ」に近い母音だけでも複数の種類があります。口の開き方や舌の位置が少し違うだけで意味が変わる単語(たとえば「hat」と「hot」と「hut」)が存在します。しかし日本語話者にはすべて同じ「ア」に聞こえてしまうことが多いです。
私自身、マニラの印刷所で書類の「copy」を頼んだとき、何度言っても聞き返されて会話が止まってしまった経験があります。日本語の「コピー」の感覚で発音していたため、最初の母音の口の開き方が英語の音とずれていたのが原因でした。母音のわずかな違いが実際のコミュニケーションを妨げるのだと、身をもって実感した瞬間でした。
関連: 日本語と英語の「音」はこんなに違う|母音・子音・リズムの比較で発音矯正の第一歩 で詳しく解説しています。
日本語にない英語の音一覧と正しい出し方
| 音の種類 | 代表例 | 調音ポイント |
|---|---|---|
| 子音(f/v/th/r/l等) | fan, van, think, red, light | 歯と唇の接触、舌の位置が重要 |
| 母音(hat/hot/hut等) | cat, box, cup | 口の開き方、舌の前後位置で区別 |
| 二重母音・r付き母音 | go, bird | 滑らかな移行、舌の反り上げ |
日本語に存在しない英語特有の音を、子音と母音に分けて一つずつ解説します。発音記号ではなく、口の中の物理的な動きに注目して読んでください。
舌・口・歯の正しい位置を意識することで、日本語にない英語の音が出せるようになる
子音編
1. 「f」の音(fan, fish, offなど)
出し方: 上の前歯の先端を下唇の内側に軽く触れさせ、その隙間から息を押し出します。声は出さず、息の摩擦だけで音を作ります。
日本語話者の典型的なミス: 両唇を近づけて出す日本語の「フ」で代用してしまう。上の歯が下唇に触れていなければ、英語の「f」にはなりません。
2. 「v」の音(van, voice, loveなど)
出し方: 口の形は「f」とまったく同じです。違いは声帯を振動させる(声を出す)こと。下唇に上の前歯を当てたまま、のどを震わせて音を出します。
日本語話者の典型的なミス: 日本語の「バ行」の音で代用してしまう。「バ行」は両唇を閉じて破裂させる音なので、歯と唇の摩擦で出す「v」とは根本的に異なります。
3. 「th」の無声音(think, three, bathなど)
出し方: 舌の先端を上の前歯の裏側、または上下の前歯の間に軽く挟み、その隙間から息だけを押し出します。声は出しません。
日本語話者の典型的なミス: 「s」の音で代用してしまう。「s」は舌先が歯茎の近くにありますが、「th」は舌が前歯に直接触れている点が大きく異なります。
4. 「th」の有声音(this, that, breatheなど)
出し方: 舌の位置は無声の「th」と同じです。舌先を上の前歯の裏側に当て、そこに声帯の振動を加えます。
日本語話者の典型的なミス: 「z」や「d」の音で代用してしまう傾向があります。舌が前歯に触れていることを意識してください。
5. 英語の「r」の音(red, right, carなど)
出し方: 舌先をどこにも触れさせず、口の中の天井(硬口蓋=上あごの硬い部分)に向かって反り上げるか、舌全体を少し後ろに引きます。唇を軽く丸めるのもポイントです。
日本語話者の典型的なミス: 日本語のラ行で代用してしまう傾向があります。日本語のラ行は舌先が歯茎の裏に一瞬触れる「はじき音」ですが、英語の「r」は舌がどこにも触れません。この違いは非常に重要です。
6. 英語の「l」の音(light, feel, pullなど)
出し方: 舌先を上の前歯のすぐ裏側(歯茎の突起部分)にしっかり押し当て、舌の両脇から息と声を通します。
日本語話者の典型的なミス: 「r」と同様にラ行で代用してしまう傾向があります。「l」は舌先が歯茎にしっかり接触している点で、舌がどこにも触れない「r」とは正反対の音です。
なお、単語の末尾に来る「l」(例:feel, callなど)は、舌先を歯茎につけたまま、舌の後部が持ち上がって暗い響きが加わる傾向があります。これを「暗いl」と呼ぶことがありますが、地域や話者によって実現の仕方には幅があります。
7. 「w」の音(water, wine, weekなど)
出し方: 両唇を強く丸めて突き出し、そこから唇を素早く開きながら声を出します。日本語の「ウ」に近い口の形からスタートしますが、唇の丸めがより強いのが特徴です。
日本語話者の典型的なミス: 唇の丸めが弱く、母音の「ウ」に近い音になってしまう傾向があります。
8. 語頭の「h」の音(hat, house, helloなど)
日本語にも「ハ行」がありますが、英語の「h」は口の構えが後に続く母音に合わせて変化する点が異なります。たとえば「he」と「who」では、「h」を出す時点で口の形がすでに違います。日本語の「ハ行」のように一律の構えではなく、次の母音を準備しながら息を出す意識が大切です。
9. 「sh」の音と「s」の音の区別(she vs. see など)
日本語の「シ」の子音は英語の「sh」に近い音です。そのため、「see」と「she」を両方「シー」のように発音してしまうことがあります。
「s」の出し方: 舌先を上の歯茎に近づけ(触れない)、狭い隙間から鋭い息を出します。舌の位置は前寄りです。
「sh」の出し方: 舌を「s」よりもやや後方に引き、舌の面積を広くして息を通します。唇も少し丸める傾向があります。
10. 「ng」の鼻音(sing, ring, kingなど)
出し方: 舌の奥(後方部分)を軟口蓋(上あごの奥の柔らかい部分)に押し当て、息を鼻から抜きます。日本語の「ん」にも似た位置で出す場合がありますが、英語ではこの音が一つの独立した子音として機能します。
注意点: 「sing」の最後はこの鼻音だけで終わり、「g」の破裂音は加えないのが一般的です。一方、「finger」のように語中に来る場合は「g」の破裂音が続くことが多いです。ただし、この区別には地域差があります。
母音編
11. 「hat」の母音(cat, map, badなど)
出し方: 日本語の「エ」と「ア」の中間のような音です。口を横に引きながら、日本語の「ア」よりもあごを大きく下げます。舌は前寄りの位置で低く構えます。
日本語話者の典型的なミス: 日本語の「ア」だけで発音してしまう傾向があります。口を横に引く動きが不足しているケースがほとんどです。
12. 「hot」の母音(box, stopなど)
出し方(アメリカ英語): 口を大きく縦に開け、日本語の「ア」よりものどの奥で響かせるように発音します。舌は低い位置で奥に引きます。唇は丸めず、口を縦に大きく開けるのが特徴です。
出し方(イギリス英語): 舌の位置はアメリカ英語に近いですが、唇を軽く丸めるのが大きな違いです。口の開きもやや小さく、丸みを帯びた響きになります。日本語の「オ」に少し近い印象を受けることがありますが、舌の位置は「オ」よりも低い点に注意してください。
このように同じ単語でもアメリカ英語とイギリス英語で口の形が異なるため、自分が学んでいる英語の種類を意識して練習するとよいでしょう。
13. 「hut」の母音(cup, but, loveなど)
出し方: 口はあまり大きく開けず、力を抜いたリラックスした状態で、のどの中央あたりから軽く「ア」を出すイメージです。日本語の「ア」よりも口の開きが小さく、力が入らないのが特徴です。
14. あいまい母音(about, banana, supplyなどの弱い音節に現れる音)
英語で最も頻繁に現れる母音であり、強勢(ストレス)が置かれない音節(syllable)に出現します。
出し方: 口をほぼ自然に開けた状態で、どの母音にも偏らない中間的な音を短く出します。力は一切入れません。日本語のモーラ(拍)のリズムではすべての音を均等に発音する傾向がありますが、英語では強勢のない音節をこのように弱く短く処理するのが自然です。慣れるまで練習が必要です。
15. 「r」が付いた母音(bird, her, turnなど)※主にアメリカ英語
出し方: あいまい母音を出しながら、舌先を口の天井に向かって軽く反り上げます。舌がどこにも触れない状態のまま、r音の響きを母音に加えます。
日本語話者の典型的なミス: 母音と「r」を別々に発音してしまう傾向があります。英語では母音と「r」が一体化した一つの音として発音されるのが一般的です。
なお、イギリス英語ではこの「r」の響きが弱い、またはほぼ消える傾向があります。
16. 二重母音の滑らかな移行(goの母音、faceの母音など)
英語の二重母音は、一つの音節(syllable)の中で口の形が滑らかに変化するのが特徴です。
出し方: 開始位置から終了位置まで、口と舌を途切れなく動かします。たとえば「go」の母音は、口を軽く丸めた位置から、さらに丸みを強める方向へ滑らかに移行します。
日本語話者の典型的なミス: 変化の幅が小さく、単一の母音のように聞こえてしまう傾向があります。または途中で音が途切れてしまうケースも見られます。
「存在しない音」を身につけるための練習法
| 練習ステップ | 方法 | 効果 |
|---|---|---|
| 視覚確認 | 鏡で口の形をチェック | 正しい調音位置の確認 |
| 最小対練習 | light/right等のペア練習 | 音の区別の定着 |
| 段階的拡張 | 単音→単語→文へ順次拡張 | 自然な会話での応用 |
| 専門指導 | プロによる癖の客観視 | 効率的な問題点修正 |
知識として理解しただけでは、実際の発音は変わりません。ここでは、日本語にない英語の音を身体に定着させるための具体的な練習方法を紹介します。
鏡を使った練習で、自分の口の動きを客観的にチェックする習慣をつけよう
ステップ1:鏡を使って口の形を確認する
鏡の前で自分の口元を見ながら、上記の各音を一つずつ練習します。特に「f」「v」「th」は歯と唇・舌の接触が目で確認できる音です。正しい位置に舌や唇があるかを視覚的にチェックする習慣をつけてください。
ステップ2:最小対(ミニマルペア)で聞き分け・言い分け練習
意味が一つの音の違いだけで変わる単語のペアを「最小対(ミニマルペア)」と呼びます。たとえば以下のようなペアです。
- light / right(「l」と「r」の区別)
- think / sink(「th」と「s」の区別)
- fan / van(「f」と「v」の区別)
- hat / hut / hot(母音の区別)
こうしたペアを交互に発音し、自分の耳で違いが聞き取れるかを確かめます。スマートフォンの音声入力機能を使って、意図した単語が正しく認識されるか試すのも効果的な方法です。ただし、音声入力はあくまで簡易的な確認手段であり、自分の発音の癖を体系的に診断・修正するには、発音に精通した指導者のフィードバックが不可欠です。
ステップ3:一音ずつ「誇張して」練習する
最初は意図的に大げさな口の動きで練習してください。たとえば「th」なら舌を前歯の間からはっきり見えるくらい出す、「r」なら唇を極端に丸めるといった具合です。このようにオーバーに動かすことで、正しい調音位置(音を作るときの舌や唇の位置)の感覚をつかめます。感覚がつかめたら、徐々に自然なスピードと動きに近づけていきます。
ステップ4:単語から文へ段階的に広げる
一つの音を単独で出せるようになったら、その音を含む単語、さらに短い文へと練習を広げます。文の中では他の音との接続が生まれるため、単独で出せても文中では崩れることがあります。段階的にレベルを上げることで、自然な会話でも正しい音が出せるようになっていきます。
ステップ5:プロの指導で自分の癖を客観視する
自分では正しいつもりでも、第三者に聞いてもらうと意外な癖が見つかることは少なくありません。特に母音の微妙な違いや、文中でのリズムの崩れは自己判断が難しい領域です。プロナビのような発音矯正に特化した専門指導を受けることで、自分では気づけない問題点を効率的に修正できます。
FAQ
Q: 日本語にない英語の音は全部で何個くらいありますか?
子音・母音を合わせて15〜20種類程度の音が、日本語に存在しないか、日本語の似た音とは明確に異なります。この記事では特に重要度の高いものを取り上げています。ただし、地域や話者によって音の出し方には幅があるため、厳密な数は一概には言えません。
Q: 「l」と「r」の区別はどうすれば身につきますか?
最も重要なのは舌の位置の違いを体で覚えることです。「l」は舌先が歯茎にしっかり触れる音、「r」は舌がどこにも触れない音です。鏡で確認しながら交互に出す練習を繰り返し、舌の感覚を定着させてください。耳だけでなく、口の中の触覚で区別する意識が大切です。
Q: 「th」の音がどうしても「s」になってしまいます。コツはありますか?
舌先の位置を変えることに集中してください。「s」は舌先が歯茎の後ろにありますが、「th」は舌先が上の前歯の裏、または前歯の間に来ます。練習の初期段階では、舌先を前歯の間から少し出すくらいオーバーに動かすと、正しい位置の感覚がつかみやすくなります。
Q: 母音の違いが聞き取れないのですが、発音の改善は難しいでしょうか?
聞き取りと発音は相互に影響し合います。自分で正しく発音できるようになると、聞き取りも改善する傾向があります。まずは口の形・開き具合・舌の位置という物理的な違いを意識して発音練習を行い、それから聞き取り練習に進むと効果的です。
Q: すべての音を一度にマスターしようとすべきですか?
一度にすべてを練習するのは非効率です。まずは自分の発音で最も通じにくい音を1〜2個特定し、そこに集中して取り組むことをおすすめします。自分の優先課題がわからない場合は、プロナビの専門コーチに診断してもらうと、最短ルートで改善に取り組めます。
まとめ:まず「知ること」から、次に「正しく動かすこと」へ
日本語にない英語の音を一覧として整理しました。発音矯正の第一歩は、自分が出せていない音の存在を知ることです。そしてその次に重要なのが、舌・口・歯の正しい位置を理解し、身体の動きとして定着させることです。
この記事で紹介した各音の出し方を参考に、まずは鏡の前で一つずつ試してみてください。自分の口の動きを観察するだけでも、多くの発見があるはずです。
ただし、自己練習だけでは気づけない癖や、複数の音が絡み合う問題を効率的に解決するには、専門家の力を借りることが最も確実な方法です。プロナビでは、一人ひとりの発音の癖を診断し、優先すべき課題から体系的に矯正するプログラムを提供しています。「自分の発音のどこを直せばいいかわからない」という方は、ぜひ専門コーチの診断を受けてみてください。
